シネコラム

第634回 ALWAYS 続三丁目の夕日

飯島一次の『映画に溺れて』

第634回 ALWAYS続三丁目の夕日

平成十九年十二月(2007)
渋谷 渋東シネタワー

 

 一九五八年の東京が舞台の『ALWAYS 三丁目の夕日』がヒットし、その翌年を描いた 『ALWAYS 続三丁目の夕日』が二年後に公開された。
 前回と同じく東宝スコープのタイトルが大きく映し出され、画面は鈴木オートの茶の間 。ラジオから流れる臨時ニュースは大怪獣ゴジラの被害を伝えている。地震のごとき振動で揺れる家。防災具を身につけて外へ飛び出すと、路上を逃げ惑う人々。オート三輪で駆 けつける鈴木社長の前で、ゴジラに踏み潰され無残に廃墟となった鈴木オートの自動車修 理工場。ゴジラの口から吐き出される熱線が東京タワーをも破壊する。いったいどうしたんだ。山崎貴監督が『ゴジラ-1.0』を撮るのはまだまだ先のはずだ。
 これは作家志望の駄菓子屋、茶川竜之介が書いたSF少年小説の内容だった。『ゴジラ 』の第一作が公開されたのは一九五四年で今回はそれから五年後の設定であるのだ。茶川は相変わらず少年雑誌に冒険読み物を書いており、孤児の古行淳之介を育てている。前回 、飲み屋のヒロミにプロポーズしたが、彼女は親の借金を返すために、ストリップ小屋の踊り子に戻っていた。
 茶川は元は地方の地主の息子であり、東大を卒業したのに、小説家を志したため親から勘当され、出世と無縁で駄菓子屋をやりながら少年小説を書いている。
 淳之介は、某実業家と水商売をしていた女性との間にできた子供で、この実父が将来性のまったくない茶川に息子を預けておけないと、再度駄菓子屋を訪れる。
 そこで茶川は一流の小説家になってみせると宣言。純文学作品『踊り子』を書き上げ、これが芥川賞の候補となる。いっしょになって舞い上がる三丁目の人々。果たして茶川竜之介は作家として成功できるのか。ヒロミとの仲は。淳之介の行く末は。といった続編は 茶川を中心に展開する。高架の高速道路ができる前の日本晴れの日本橋、新幹線ができる前の特急こだま、全盛時代の有楽町の映画館など、懐かしい昭和が出てきて、三丁目の登場人物は前作とほとんど同じである。

ALWAYS 続三丁目の夕日
2007
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、須賀健太、小清水一輝、小日向文世、平田満、吹石一恵、渡辺いっけい、手塚理美

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