シネコラム

第551回 カレンダーガール

飯島一次の『映画に溺れて』

第551回 カレンダーガール

平成六年九月(1994)
高田馬場 早稲田松竹

 

 英国ヨークシャー州の町で、白血病医療に寄付するため、婦人会に属する中年や初老の女性たちが自らモデルとなりヌードカレンダーを作って販売した事実を映画化した『カレンダー・ガールズ』はその後、演劇となり、日本で公開されたものを観劇した。
 実は観劇時、ほぼ同じタイトルのアメリカの青春映画『カレンダーガール』があったことを思い出したのだ。カレンダーガールとは水着やヌードのカレンダーに登場するピンナップガールのことである。
 一九六〇年代初頭、アメリカの田舎町に住むロイ、ネッド、スコットの三人は子供の頃から仲良し三人組で、そろそろ大人になろうとしている。
 母親が駆け落ちし、ボクシングジムのトレーナーの父とふたり暮らしのロイは、地元のごろつきの使い走りをしているツッパリ青年。
 死んだ父の玩具店を継ぐことになったネッドは純情青年。
 片足の不自由なスコットは真面目青年で映画館の映写技師を目指している。
 現状に不満なロイは軍隊へ志願することになり、入隊を前にネッドとスコットを誘い、三人で記念にハリウッドへ遊びに行き、憧れのアイドルスター、マリリン・モンローに会う計画を立てる。ロイの叔父は売れない俳優だが、冷戦時代なので核シェルターのセールスで荒稼ぎしており、ハリウッドでいい暮らしをしている。三人はそこへ転がりこんで、なんとかモンローに会う手立てを考え、とうとう、ロイがモンロー本人とデートする約束を取りつける。
 だが、彼はその権利をネッドに譲る。ロイにとって、モンローは自分と父親を捨てて出ていった母親のイメージが強かったのだろう。ネッドは憧れのモンローとデートし、三人は田舎に帰り、ロイは父親と和解して軍隊に入り、善良なスコットは映写技師となり幼なじみと結婚し、ネッドは都会の大学へ行く。

 

カレンダーガール/Calendar Girl
1993 アメリカ/公開1994
監督:ジョン・ホワイトセル
出演:ジェイソン・プリーストリー、ジェリー・オコンネル、ガブリエル・オールズ、ジョー・パントリアーノ、スティーブ・レイルズバック、カート・フラー、スティーブン・トボロウスキー

 

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