シネコラム

第506回 リーグ・オブ・レジェンド

第506回 リーグ・オブ・レジェンド

平成十五年十月(2003)
渋谷 渋東シネタワー1

 

 十九世紀末のロンドンで近代兵器による組織犯罪が行われる。ヨーロッパ各地に暗躍する悪の組織ファントム。大規模な陰謀が世界大戦に発展するのを阻止するため、大英帝国情報部のMが正義のヒーローたちを召集する。
 リーダーとなるのが『ソロモンの洞窟』の主人公アラン・クォーターメイン、他には『海底二万里』のネモ船長、透明人間、吸血鬼ミア・ハーカー、ドリアン・グレイ、ジキル博士、アメリカからは諜報部員となった青年トム・ソーヤーが参加する。
 が、悪の組織のほんとうの狙いは、彼らを集結させることだった。
 まるで、後のマーベルコミック『アベンジャーズ』を思わせる。みなそれぞれ、十九世紀の文芸作品に登場するヒーローであり、それが力を合わせて巨大な敵に立ち向かうのだから。
 ただし、物足りないのは十九世紀のヒーローたちが集結していながら、大事な文芸作品のヒーローがひとり欠けているのではなかろうか。コナン・ドイルが創作した伝説の名探偵がなにゆえ仲間に加わらないのか。
 そう思ってみると、大英帝国情報部のMの存在が気にかかる。が、これ以上はネタバレになるので、興味のある方はインターネットの筋書きは読まないで、映画そのものをDVDなり配信なりで、きちんと御覧になることをおすすめする。
 一番最初、ショーン・コネリーふんするアラン・クォーターメインの身代わりにアフリカで殺される老人を演じているのがデビッド・ヘミングス。一九六〇年代に脇役で不良青年をよく演じていた。『キャメロット』ではアーサーの不義の息子モードレット。『別れのクリスマス』という監督作品もある。あのヘミングスが老人になって殺されるとは。ショーン・コネリーはこのときも相変わらずかっこよかったが。

 

リーグ・オブ・レジェンド/The League of Extraordinary Gentlemen
2003 アメリカ/公開2003
監督:スティーブン・ノリントン
出演:ショーン・コネリー、ナセールディン・シャー、ペータ・ウィルソン、トニー・カラン、スチュアート・タウンゼント、シェーン・ウェスト、ジェイソン・フレミングリチャード・ロクスバーグ、デビッド・ヘミングス