シネコラム

第478回 イルマーレ

第478回 イルマーレ

平成十八年九月(2006)
新宿歌舞伎町 ミラノ座

 

 韓国映画のハリウッドリメイク。オリジナルが未見のため比較はできないが、どこから見てもハリウッド映画になっている。
 別の年代に通じる郵便受けで別の年代の人物がやりとりするという設定は、『オーロラの彼方』の無線機と同じ趣向である。
 二〇〇六年、シカゴの病院に勤務の決まった女医のケイは湖のほとりにある家から引っ越すことになり、郵便受けに次の住人にあてたメッセージを残す。
 二〇〇四年、湖のほとりの家に引っ越してきた建築家のアレックスは郵便受けに奇妙なメッセージがあるのを発見する。そして返事を書く。
 ふたりの間に二年という時間を越えた文通が始まる。
 アレックスの父は著名な建築家だったが、名声とともに家庭をないがしろにし、母を捨てた。そのことでアレックスは父を憎みながらも、同じ建築家の道を進み、細々と雇われ仕事をしている。湖畔の家は父の設計になるものだった。
 ケイはシカゴの病院に勤務したばかりで、目の前で事故に遇った男性を助けられず、落ち込んでいた。
 二年の年月を越えた文通でふたりはお互いの悩みを打ち明け、考え方や読書の好みも同じで、だんだんと惹かれあっていく。
 アレックスは湖畔の近くのパーティで、二年前のケイに出会うが、彼女には婚約者がいた。アレックスはケイに手紙を書く。二年後に会いたいと。
 時間SFというよりも、恋愛ファンタジーの要素が大半を占めている。映画としては悪くないが、SF好きの私としては多少の不満は残る。

 

イルマーレ/The Lake House
2006 アメリカ/公開2006
監督:アレハンドロ・アグレスティ
出演:キアヌ・リーブスサンドラ・ブロック、ショーレ・アグダシュルー、クリストファー・プラマー、ディラン・ウォルシュ