シネコラム

第477回 NEXT-ネクスト-

第477回 NEXT-ネクスト-

平成二十年五月(2008)
新宿歌舞伎町 新宿ジョイシネマ

 

 全身が黄金色に輝く新種の人類が誕生、超越した能力で人類にとって代わることを恐れた政府が抹殺しようとして裏をかかれる。というのがフィリップ・K・ディックの短編『ゴールデンマン』だが、それを原作にしながら『NEXT』はまったく違う作品になっている。
 ニコラス・ケイジふんする主人公クリス、自分に関する二分先の出来事が予知できる。ラスベガスの手品師で、芸名がフランク・キャデラック。好きなもの二つを組み合わせたんだと語る。フランケンシュタインとキャデラックと。目立たないように予知能力を生かして生計をたて、カジノで小さく賭けて細々と稼いでいる。
 あるとき、行きつけのコーヒーショップに運命の女性が入ってくることを予知する。が、二分経っても彼女は現れない。
 FBIが密かにクリスを監視し、予知能力に気付いて接触してくる。国内に核爆弾を持ち込んだテロリストの正体を探り爆破を阻止するため、クリスを利用しようとするのだ。が、たった二分先の自分に関することしか予知できない彼にそんな難題は無理ではないか。この設定はほとんどコメディだが、ストーリーはシリアスである。
 FBIの要請を断ったクリスはとうとうコーヒーショップで運命の女性リズに出会い、彼女と親しくなる。
 今度はテロリストたちがFBIの動きからクリスの存在を知り、リズを人質に取ってクリスの妨害を押さえようとする。
 自分の未来は二分先しか見えないクリスだが、愛するリズの未来は、ずっと先の先まで見えてしまい、彼女を助けるためにFBIに協力する。はたして犯人と爆弾の場所を見つけられるのか。
 クリスとビリヤードする老人の役でピーター・フォークがちらりと出ている。

 

NEXT-ネクスト-/Next
2007 アメリカ/公開2008
監督:リー・タマホリ
出演:ニコラス・ケイジジュリアン・ムーアジェシカ・ビールピーター・フォークトーマス・クレッチマン、ホセ・ズーニガ