シネコラム

第476回 フェイス/オフ

第476回 フェイス/オフ

平成十年六月(1998)
三軒茶屋 三軒茶屋シネマ

 

 FBIの捜査官とテロリストが入れ替わる『王子と乞食』の現代版のようなストーリー。これが派手な追跡、銃撃、爆発シーンの連続で展開される。
 生真面目な捜査官がジョン・トラボルタ、卑劣で凶悪なテロリストがニコラス・ケイジ。全然似ていないふたりがどうして入れ替わるのか。
 幼い息子をテロリストのキャスター・トロイに殺された捜査官アーチャーはキャスターを長年追い続け、空港で弟のポラックス共々逮捕。キャスターは銃撃戦で昏睡状態の植物人間となる。積年の恨みを晴らし、ゆっくり休養。仕事に追われて疎遠がちだった妻との仲も回復。
 ところが、トロイ兄弟がロサンゼルスに細菌爆弾を仕掛けたことが判明し、数日後には爆破する。アーチャーは極秘任務として昏睡状態のキャスターの顔面を移植し、服役中の弟から爆弾の情報を聞き出すために刑務所に潜入する。
 一方、昏睡状態から目覚めたキャスターは病院から子分に指図し、医者を脅して保管してあったアーチャーの顔面を移植したうえ、極秘任務の関係者を全員殺害する。
 アーチャーの顔を持つキャスターは捜査官として振る舞い、自分が仕掛けた爆弾を自分で処理して称賛される。キャスターの顔を持つアーチャーは刑務所から出られず、凶悪犯として看守から虐待される。はたしてアーチャーは自分の顔を取り戻すことができるのか。
 アクションシーンもさることながら、トラボルタとケイジの重厚から軽薄、軽薄から重厚という一人二役の演技が見もの。
 完璧な顔面移植手術によって善人と悪人の立場が入れ替わるというとんでもない設定さえ受け入れれば、問題なく楽しめる。

フェイス/オフ/Face/Off
1997 アメリカ/公開1998
監督:ジョン・ウー 
出演:ジョン・トラボルタニコラス・ケイジジョアン・アレンアレッサンドロ・ニヴォラジーナ・ガーション、ドミニク・スウェイン、ニック・カサヴェテスCCH・パウンダーコルム・フィオールジョン・キャロル・リンチ、ハーブ・プリズネル

 

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