第413回 メリーに首ったけ
平成十一年二月(1999)
新宿歌舞伎町 新宿グランドオデヲン
ここまでやるかというぐらいに悪乗りの下ネタ満載、大いなる悪ふざけではあるが、微妙なところで下品になりすぎない。というか、下品さがさほど不快に感じられない。そこはベン・スティラー、マット・ディロンといったベテランスターの格、演技力によるのかもしれない。
そして、キャメロン・ディアスの魅力。セクシーで可憐な女性には男はみんな参ってしまうのだ。
高校生のテッドは内気で不器用で見た目もぱっとしない冴えないタイプ。みんなが憧れる美女メリーとひょんなきっかけで知り合い、プロムに誘って承諾してもらう。純情青年、がんばれと応援したくなる出だし。ところが、有頂天で彼女の家に行くと、不運にも人生最大の悲劇となり、その後、二度と彼女に会えないで今に至る。
三十過ぎてトラウマをいつまでも引きずる彼に友人が助言する。マイアミに引っ越したらしい彼女の行方を探偵を雇って調べてはどうか。この探偵が胡散臭いチンピラ詐欺師。違法な手口でメリーを探し当て、自分が彼女に一目ぼれして、テッドに嘘を報告する。今のメリーは醜い肥満女で子だくさん、男たちに捨てられ生活苦にあえいでいると。
実際のメリーは学生時代以上に若々しく美しく、しかも独身だった。探偵は盗聴からメリーの理想のタイプを調べあげ、それになりすまし、偶然を装って近づくという展開。そこへメリーの友人で身障者の建築家が立ちふさがり、探偵の嘘を暴く。
テッドはメリーが忘れられず、苦労しているなら力になりたいとマイアミへ。さらにメリーの昔のボーイフレンドの変態男が。
メリーの周りを取り巻く男たちが全員、クズばかり。変な男にしか愛されない美女の悲劇という風に見ても面白い。最終的には純情男が数々の不運を乗り越えるロマンチックコメディとなるのだが。
メリーに首ったけ/There’s Something About Mary
1998 アメリカ/公開1999
監督: ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー
出演:キャメロン・ディアス、ベン・スティラー、マット・ディロン、リー・エバンス、クリス・エリオット、W・アール・ブラウン、リン・シェイ、ジェフリー・タンバー、リチャード・タイソン、リチャード・ジェンキンス