シネコラム

第378回 ダーティハリー

飯島一次の『映画に溺れて』

第378回 ダーティハリー

昭和四十八年四月(1973)
大阪 堂島 大毎地下

 クリント・イーストウッドを映画館で最初に観たのが『続・夕陽のガンマン』で、私は中学生だった。そして『ダーティハリー』が公開され、話題になったのが高校時代の終わり頃。マカロニウエスタンダーティハリーの大ヒットで、イーストウッドは一躍大スターとなった。長身でニヒルな二枚目、とにかくかっこよかったのだ。
 ハリー・キャラハン刑事がハンバーガー屋で食事していると、強盗事件が目の前で発生。いきなりビッグマグナムを取り出し、片手でハンバーガーをむしゃむしゃ食いながら犯人をバンバン撃っていく。この始まりの場面が忘れられない。
 日本のマクドナルド一号店が銀座にオープンしたのが一九七一年、関西進出は翌年の京都、続いて大阪だった。大阪に住む私が『ダーティハリー』を観たのが一九七三年。そろそろハンバーガーという食べ物が認知され始めた頃だが、まだ食したことのなかった私は、ああ、あれがハンバーガーかと妙に感心したものだ。
 クールで正義感が強く、射撃の名手。街中でも悪党を簡単に撃ち殺すので、有能なのに評判はよくない。上司から煙たがられ、同僚からは嫌われる。
 このキャラハン刑事が卑劣な連続殺人魔と対決するのが『ダーティハリー』第一作だった。ヒットしてシリーズ化され、『ダーティハリー5』まで作られた。
ダーティハリー2』では法の目を逃れた悪人を始末する「必殺仕掛人」のような謎の白バイ集団と戦う。
ダーティハリー3』では爆弾テロリストのグループと。
 そしてハリーの相棒になった刑事たち、毎回殉職するのも決まりとなっていた。
 あの頃、スティーブ・マックィーンの『ブリット』やジーン・ハックマンの『フレンチ・コネクション』など、刑事ものの話題作がいくつか続いた。
 同じはみだし刑事でもイーストウッドのハリー・キャラハンに比べるとハックマンのポパイ刑事、全然かっこよくなかったが、あれはあれで映画としては面白かった。

 

ダーティハリー/Dirty Harry
1971 アメリカ/公開1972
監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッドハリー・ガーディノ、アンディ・ロビンスン、ジョン・バーノン、レニ・サントーニ、ジョン・ラーチ

 

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