第375回 魔法使いの弟子
平成二十二年八月(2010)
新宿歌舞伎町 ミラノ3
自社アニメーションの名作を次々と実写化しているディズニー。そんな中で異色なのが『ファンタジア』の一編『魔法使いの弟子』の実写版。オリジナルはポール・デュカスの曲に乗せて、魔法使いの弟子ミッキー・マウスが帚に魔法をかけて水汲みをさせ、止める魔法を知らず、家が水浸しになるというもの。
これにアーサー王伝説の魔法使いマーリンを融合させたのが実写版『魔法使いの弟子』である。
中世のイングランド。邪悪な魔女モルガナのために倒されたマーリンは、弟子のバルサザールに使命を与える。マーリンの後継者を探し出し、モルガナを滅ぼし、世界を救えと。
マーリンから不老不死の秘術を授かったバルサザールは、その後、千年以上も世界をさまよい、後継者を探し続けている。
現代のニューヨーク。大学で物理学を学ぶ青年デイヴ。彼には子供時代の忌まわしい記憶があった。遠足の途中で迷い込んだ骨董屋で善と悪の魔法使いが戦うのを目撃して、おもらし。学校中の笑い者になったのだ。
この理科系科学実験オタクのデイヴがマーリンの後継者となり、バルサザールのもとで魔法修業をすることに。
コメディと魔法のディズニー。ディズニー映画はいつも明るく楽しくハラハラドキドキ。パターンとはわかっていても、つい観てしまう。
バルサザールがニコラス・ケイジ、弟子となる若者がジェイ・バルチェル、敵役がアルフレッド・モリーナ、美女がモニカ・ベルッチ。現代ニューヨークを舞台に善と悪との派手な魔法合戦も楽しめる。『ファンタジア』のミッキーの水汲みの場面、ほとんどそのまま出てくるのもうれしい。
ふと思ったのだが、DCコミックス映画『シャザム!』は、けっこうこの映画と似た設定である。
魔法使いの弟子/The Sorcerer’s Apprentice
2010 アメリカ/公開2010
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ、ジェイ・バルチェル、モニカ・ベルッチ、アルフレッド・モリーナ、テリーサ・パーマー、アリス・クリーグ