シネコラム

第245回 ロンゲスト・ヤード

第245回 ロンゲスト・ヤード

昭和五十年八月(1975)
大阪 梅田 三番街シネマ2

 バート・レイノルズ主演の代表作といえば、ジョン・ブアマン監督の『脱出』を思い浮かべる人は多いだろう。が、私はこっち『ロンゲスト・ヤード』が好きである。タフで女にもてるというレイノルズらしい役柄。
 かつてフットボールの名選手だったポールは、今では酒びたりで、ガールフレンドといさかいを起こし、彼女の高級車を勝手に乗り回してパトカーとカーチェイス、車の窃盗や飲酒運転などの罪が重なり刑務所行きとなる。
 刑務所長は大のフットボール好きで、著名なプレイヤーのポールを大喜びで迎え入れ、看守で構成する自分のチームの指導を依頼する。
 囚人の中から使えそうな者を選び、ポールに囚人チームを作らせ、看守チームの練習台として対戦させようというのだ。選手として選ばれた囚人は優遇され、試合となれば罰則なしで看守をぶちのめせる。凶悪犯たちが志願して人数はそろうが、素人なのでもちろん簡単にはいかず、いよいよ公開試合となる。
 ところが、囚人たち、本番で思わぬ力を発揮し、看守チームを追いつめる。熟練の看守チームが素人の囚人チームに負ければ、所長の立場はない。そこで密かに裏取引。もしも囚人チームが勝つようなら、殺人のぬれぎぬを着せ、一生刑務所から出さないぞ。結局、この所長、スポーツマンシップとは縁のない見栄っ張りの俗物だった。さて、試合の結果は。
 刑務所長役のエディ・アルバートは若い頃、『ローマの休日』でカメラマンを演じていた。
 二〇〇五年に、三十年ぶりにアダム・サンドラー主演でリメイク。こちらはコメディ色が濃厚だが、老囚人の役でバート・レイノルズが出ていて、うれしくなった。まさかあれから三十年、ずっと刑務所に入っていたわけでもなかろうが。

 

ロンゲスト・ヤード/The Longest Yard
1974 アメリカ/公開1975
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:バート・レイノルズエディ・アルバートマイケル・コンラッド、ジム・ハンプトン、リチャード・キールエド・ローター