シネコラム

第117回 プラネット・テラー

第117回 プラネット・テラー

平成二十年三月(2008)
新橋 新橋文化

 新橋文化が好きだった。新橋駅すぐのガード下にあって、アクション、ミステリ、SF、ホラーなど主にB級といわれるような娯楽作品を低料金二本立てで週替わりに上映していた。
 映画の上映形式がフィルムからデジタルに切り替わったとき、多くの映画館が閉館した。デジタル対応しなかった新橋文化は古い名作をしばらくフィルムで細々と上映していたが、やはり続かなかった。
 ここにはどれだけ通ったことか。おそらく、何百本と観たと思う。私は今でも新橋のガード下のあたりを歩くと、胸がしめつけられるのだ。
 ロバート・ロドリゲス監督の『プラネット・テラー』は封切時、タランティーノ監督の『デス・プルーフ』と二本立てで『グラインドハウス』として公開された。グラインドハウスとは超B級映画館、まさに新橋文化ではないか。
 テキサスの田舎町、軍が密かに開発した毒ガス兵器がもれて、住民がゾンビと化し、感染を免れた主人公たちがこれと戦うというよくあるパターンながら、随所に遊び心が溢れている。
 元踊り子が義足のマシンガンをぶっぱなす場面は大受けで、美女たちに混じって、大物俳優が出演している。
 新橋文化では『プラネット・テラー』をスティーヴン・セガールの『沈黙の激突』と二本立てで上映し、『グラインドハウス』の架空の予告編『マチェーテ』も上映。ロドリゲス作品の常連で、見るからにメキシコの殺人鬼ダニー・トレホマチェーテ役で主演。この架空の痛快メキシカンアクションは、その後、予告編だけではなく、本編として実現した。


プラネット・テラー/Planet Terror
2007 アメリカ/公開2007
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、マイケル・ビーンジョシュ・ブローリンブルース・ウィリスクエンティン・タランティーノ