シネコラム

第108回 007は二度死ぬ

第108回 007は二度死ぬ

昭和四十二年八月(1967)
大阪 千日前 スバル座

 

 007の読み方は今はダブルオーセブンだが、私が子供の頃はゼロゼロナナだった。早川のポケミスで出ているイアン・フレミングの原作は『007号は二度死ぬ』で、わざわざ号までついていた。
 私より年上の人はゼロゼロナナという人が多い、やがてゼロゼロセブンとなり、ダブルオーセブンとなる。日本での読み方には段階があり、どう読むかで世代がわかる。
『007は二度死ぬ』は私が封切りで観た最初のボンド映画で、ゼロゼロナナからすでにゼロゼロセブンに移っていた。主演はもちろんショーン・コネリーである。いろんな俳優がボンドを演じているが、やはりジェームズ・ボンドショーン・コネリーがいい。
 この映画は人工衛星の場面で始まる。宇宙空間で作業している飛行士。そこへ未知の宇宙船が近づき、ぱくっと衛星を捕獲する。と、飛行士はロープを切られて、そのままどこかへ飛んで行く。これがとても怖かった。
 そして、ナンシー・シナトラの主題曲が流れる。ユー・オンリー・リヴ・トゥワイス。
 宇宙で起こった犯罪に日本が関係しているとの情報をつかんだ英国諜報部はボンドを日本に送り込む。
 芸者、相撲、風呂などの日本趣味が描かれるが、ボンドが日本の漁師に変装して敵の秘密基地に潜入するあたり、かなり変であった。日本人にも漁師にも見えないのだ。日本のスパイ組織の長官が丹波哲郎で、配下の忍者部隊がボンドを手助けする。
 悪役ブロフェルドのドナルド・プリーゼンス。片目に眼帯、猫を抱いている。
 ボンドガールは若林映子浜美枝。当時中学生であった私は、東宝コメディに出て来る浜美枝が好きで、週刊誌にヌード写真が出たのは大いにショックであったが、ちょっとうれしかった。
 ともかくこれが最初のボンド体験で、『危機一発』や『殺しの番号』を観るのは、これより少しあとのリバイバルのときである。

 

007は二度死ぬ/You Only Live Twice
1966 イギリス/1967
監督:ルイス・ギルバート
出演:ショーン・コネリー丹波哲郎若林映子浜美枝、ドナルド・プリーゼンス

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