第107回 青春銭形平次 天晴れ一番手柄
平成十二年二月(2000)
渋谷 ユーロスペース1
岡本綺堂はシャーロック・ホームズをお手本に、幕末の江戸の風俗を描いた『半七捕物帳』を世に出した。
以後、町奉行所の手先である御用聞きを主人公とした捕物帳が流行し、ひとつのジャンルを定着させ、野村胡堂の銭形平次や横溝正史の人形佐七など様々な親分たちが生まれるわけである。
なかでも銭形平次は映画やTVで長期にヒットし続け、捕物帳の代名詞のようになっている。
その平次親分の売り出す前の若き日を描いたパロディが市川崑監督の『青春銭形平次 天晴れ一番手柄』である。
平次はまだ駆け出し。豆腐屋の娘のお静と喧嘩ばかりしているが、仲はいい。ここへ八五郎が子分にしてくれとやって来る。
平次は投げ銭の技を偶然開発して練習する。が、銭がもったいないので、ひもが付いている。
江戸に贋小判が出回り、幕府は三角の小判や四角い小判や星形の小判まで新規発行して、贋金に対抗するが、次々と贋物が出回る。
この贋金作りの一味をまったく偶然に平次が見つけ、事件を解決する。贋金作りの一味が平次を追いかけ、平次は逃げて逃げてとうとう町奉行所の牢に逃げ込み、賊もここへ追って来て自然に牢に入ってしまうという馬鹿馬鹿しさ。笑える。
銭形平次を演じたのがが歌舞伎の七代目大谷友右衛門、後の四代目中村雀右衛門である。子分の八五郎が伊藤雄之助、町奉行に山形勲、与力に伊豆肇。ヒロインのお静は杉葉子。
青春銭形平次 天晴れ一番手柄
1953
監督:市川崑
出演:大谷友右衛門、杉葉子、伊藤雄之助、伊豆肇、柳谷寛、木匠マユリ、山形勲