シネコラム

第104回 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

第104回 シャーロック・ホームズ シャドウゲーム

平成二十四年一月(2012)
西新橋 ワーナーブラザース試写室

 

 世界でもっとも有名な探偵といえば、シャーロック・ホームズで、その名前は、おそらく、本を読んだことのない人でも知っている。
 アーサー・コナン・ドイルによって書かれたホームズの冒険譚は、ホームズの友人であるワトスン医師の手記の形で発表され、当時はホームズの実在を信じる人も大勢いたとか。
 格調高い歴史小説を書きたかったドイルは、通俗娯楽小説であるホームズ物語を打ち切るために『最後の事件』という短編を書き、ホームズと宿敵である犯罪界の黒幕モリアーティ教授とをスイスで対決させ、ふたりを滝に飲み込ませた。その後、ホームズファンの熱烈な要望で、滝から落ちたホームズは死なずに復活するが。
 ガイ・リッチー監督の『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』はロバート・ダウニーJr主演の前作『シャーロック・ホームズ』の続編である。
 一八九一年のロンドン。各地で起きる数々の犯罪事件。それらをたどると、ひとりの人物に行き着くことをホームズは確信する。ジェームズ・モリアーティ教授。
 大学に面会におもむいたホームズに向って教授は宣言する。
「私の計画を邪魔するつもりなら、君は破滅する」
「あなたを破滅させられるなら、喜んで破滅しましょう」
「ならば、新婚の友人によろしく」
 ワトスンとメアリの結婚式。パリへ新婚旅行に出かける二人にモリアーティの魔の手が迫る。ホームズとワトスン、モリアーティ一味は追いつ追われつ、フランス、ドイツ、そしてとうとうスイスにまで。
 ヨーロッパ全土を巻き込むモリアーティの壮大な犯罪計画。今回はホームズの活躍で見事、阻止された。が、モリアーティの描いた悪夢は、現実の世界で「最後の事件」から二十三年後に不幸にして実現してしまうのだ。第一次世界大戦として。
 前回同様、推理ドラマではなく、今回も全編冒険アクションである。

 

シャーロック・ホームズ シャドウゲームSherlock Holmes: A Game of Shadows
2011 アメリカ/公開2012
監督:ガイ・リッチー
出演:ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウジャレッド・ハリス