シネコラム

第98回 誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

第98回 誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

昭和五十六年五月(1981)
池袋 文芸坐

 

 池袋の文芸坐で『アニー・ホール』を観たとき、二本立てのもう一本がこれだった。
 アートシアターの『ボギー俺も男だ』のパンフレットにこの映画のことが書かれていのたのに、長いこと公開されず、結局、『アニー・ホール』のオスカー受賞でようやく日の目を見たのだ。
 セックスの解説書をもとに、ウディ・アレンが脚本、監督。とんでもないセックスコメディに仕立て直した快作で、七つの短編からなるオムニバスである。
 中世ヨーロッパ、王の留守に王妃と浮気しようとして、王妃の貞操帯が外せぬまま王に見つかり処刑される道化。
 羊に恋する精神科医
 人目のあるところでしかセックスできないイタリア人の夫婦。
 家族とともに娘の婚約者の家を訪問し、その家の夫人のドレスが気に入ってしまい、隠れて女装しているところを見つかる父親。
 マッドサイエンティストの作った巨大な乳房が人を襲うSF。
 私が好きなのは、最後の『ミクロの決死圏』のパロディで、人間の体内各部を擬人化。本人が女性とデートして、セックスにいくまでを脳の指令室が管理しており、それぞれの部署の職員が指示に従って働くというもの。最終段階で落下傘部隊を擬した一軍の精子たちが飛び出していく様は哀愁とともに大爆笑だった。

 

誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう/Everything You Always Wanted to Know About Sex* (*But Were Afraid to Ask))
1972 アメリカ/公開1981
監督:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン、リン・レッドグレイヴ、ジーン・ワイルダージョン・キャラダインバート・レイノルズ