シネコラム

第99回 アイ・フィール・プリティ

第99回 アイ・フィール・プリティ

平成三十年十一月(2018)
六本木 アスミックエース試写室

 

 エイミー・シューマー主演作では、これより一年前のちょっと下品なセックスコメディ『エイミーエイミーエイミー』も面白かったが、『アイ・フィール・プリティ』はさらに笑えた。
 主人公はいわゆる不美人。大手化粧品会社に勤めているが、華やかな本社勤務ではなく、別地域にあるチャイナタウンの地下のオンライン対応係。商品への苦情などをパソコンで処理する地味な仕事。同僚は無口で不愛想な男がひとりだけ。
 仲のいい友達二人も同様に不美人で、三人で飲んだりしゃべったり、もてないことを嘆いたり、暗くて卑屈な日々。
 自分はこのまま一生終わるのか。そんなことを思いながら酒を飲み、ぼんやりTVを見ていると、映画『ビッグ』の一場面、少年がカーニバルの機械に「大人になりたい」と願い事をしている。そうだ、願えば思いは叶うのではないか。彼女は酔った勢いでそのまま公園まで行き、噴水にコインを投げ込む。私を美しくしてください。
 翌日、太った体形をなんとかしようとジムで自転車を一所懸命こいでいると、あまりに体重がありすぎて、自転車が壊れ、頭を打って気を失う。
 気が付くと、彼女は驚く。自分が絶世の美女に変身しているのだ。願いが叶った。実は頭を打ったショックでそう思い込んでいるだけで、外見は全然変化していない。それなのに、その日から彼女は自信満々の美女としてふるまう。
 無謀にも本社の受付係に応募する。クリーニング店で知り合った男性にはごり押しのアタック。彼を無理やりデートに誘い、水着コンテストにまで出場。
 ここまでやるのか。積極的な行動が周囲を驚きあきれさせる。本人は外見に関わらず、完璧な美女と思い込んでいるから、何を言われても平気。活き活きしている。すると不思議なことに、彼女がだんだん素敵に見えてくる。そして、とうとう化粧品会社でも出世の道が開けるのだ。世の中、美男だけがもてるわけではない。女性の魅力もまた男性同様、見た目だけではない。人間、自信があれば、どこまでも前向きに生きられる。そして、もてるのだ。

 

アイ・フィール・プリティ/I Feel Pretty
2018 アメリカ/公開2018
監督:アビー・コーン、マーク・シルヴァースタイン
出演:エイミー・シューマー、ミシェル・ウィリアムス、ロリー・スコヴェル