シネコラム

第83回 ラブ・アゲイン

飯島一次の『映画に溺れて』

第83回 ラブ・アゲイン

平成二十四年三月(2012)
高田馬場 早稲田松竹

 

 ひねりの効いたシチュエーション、追い詰められる主人公、度重なる偶然、登場人物が勢ぞろいの大混乱。このありえなさをリアルな笑いに持って行くうまさ。上出来のラブコメディである。
 主人公キャルは真面目を絵に描いたような中年男。若くして結婚し、妻以外に恋愛経験なし。平凡なサラリーマンであり、よき父親でもあるが、ある日、妻から離婚を切り出される。会社の同僚のデヴィッド・リンドハーゲンと浮気してしまった。もうあなたといっしょには暮らせない。
 彼は落ち込み、家を出て、毎晩酒場で飲んだくれ、相手かまわず愚痴をこぼし続ける。長年連れ添った妻に捨てられた。妻がデヴィッド・リンドハーゲンと浮気したせいで。
 この酒場の常連客のプレイボーイ、ジェイコブが声を掛けてくる。泣き言ばっかり言ってないで、かっこいい男になって、デヴィッド・リンドハーゲンと浮気した奥さんを見返してやれ。どうして妻の浮気相手を知ってるんだ。あんたが毎晩しゃべってるから、いやでも覚えたんだ。
 ジェイコブに服装から、身のこなし、会話まで指南され、なんとか洒落男に変身し、何度目かの挑戦でバーで年増の美人教師を口説いて情事に成功。
 一方、女たらしのジェイコブは、法学部を卒業したばかりの若い女性が簡単に口説けず、本気になり、キャルに言う。今度、彼女の親に会うことにしたよ。
 父兄会でキャルに再会した妻は、夫が垢抜けしているので見直すが、息子の担任教師が夫の情事の相手とわかり憤慨。最後はジェイコブからデヴィッド・リンドハーゲンまで関係者がみんなキャルの家に集まっての大混線。
 主演のスティーヴ・カレルをはじめ、プレイボーイのライアン・ゴズリング、妻のジュリアン・ムーア、妻の浮気相手ケヴィン・ベーコン、プレイボーイの本命エマ・ストーン、女教師のマリサ・トメイなどベテランがたっぷりと喜劇を見せてくれる。

 

ラブ・アゲイン/Crazy, Stupid, Love.
2011 アメリカ/公開2011
監督:グレン・フィカーラジョン・レクア
出演:スティーヴ・カレルライアン・ゴズリングジュリアン・ムーアエマ・ストーンジョン・キャロル・リンチマリサ・トメイケヴィン・ベーコン

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