第84回 ベスト・フレンズ・ウェディング
コメディで笑わせてじーんとさせるのは相当の腕がいる。もちろん、全然笑えなくて泣いてしまうコメディは最初から失敗作だけど。タイトルでいきなり花嫁と三人の付添いが歌うテーマ曲が流れ、往年のハリウッド映画のような雰囲気。楽しい映画になりそうだという期待を抱かせる。
雑誌記者ジュリンのところへ昔の恋人で今でも親友のマイケルから電話があり、四日後に結婚することになったと告げられる。そのとたん、彼女は彼を他の女に渡したくないと思う。そして会いに行く。婚約者のキンバリーは若くて美人で素直、しかも金持ち。申し分ない。両親も金持ちぶらない善人。
マイケルは特別美男でもないし、かっこよくもないが、だからこそジュリアンは今まで彼と結婚もせず友達の関係でいたわけなので、リアリティはある。ジュリアンはこの結婚をなんとかぶち壊し、彼とよりを戻そうと策をめぐらす。
キンバリーがカラオケが苦手と知って、わざと嫌がらせに二人をカラオケバーに誘うと、キンバリーは極度の音痴。ここで彼女が歌う歌詞が、ジュリアンのマイケルへの気持ちそのもの。あまりの下手さに、かえってキンバリーを可愛く思うマイケル。
ジュリアンの意図を知り、駆けつけて忠告するゲイの編集者ジョージ。彼は両家のランチに招待され、ジュリアンの婚約者と偽り、嘘のなれそめを語る。ここでディオンヌ・ワーウィックのエピソードが入り、レストランの全員で『小さな願い』の合唱となる。
ジュリアンが妨害しようと、マイケルとキンバリーの仲は深まるばかり。ジョージはジュリアンに言う。正直に彼に気持ちを告白しろ。告白したらどうなるの。彼は婚約者を選ぶだろう。そして、君は仕事に戻る。
いくら頑張っても二人の仲を裂くことはかなわず、とうとう最後は花嫁の付添いを勤める。そして彼女を心配するジョージが再び現れ、ふたりでダンス。今時の二枚目はみんなゲイだ。恋愛や結婚とは無縁でも僕は君の親友だよ。
ベスト・フレンズ・ウェディング/My Best Friend’s Wedding
1997 アメリカ/公開1997
監督:P・J・ホーガン
出演:ジュリア・ロバーツ、ダーモット・マローニー、キャメロン・ディアス、ルパート・エベレット、フィリップ・ボスコ、M・エメット・ウォルシュ