シネコラム

第68回 仮面の男

飯島一次の『映画に溺れて』

第68回 仮面の男

平成十年八月(1998)
日比谷 日比谷映画

 

 ひとりの俳優が性格の違う双子を演じるというのも、よくある。三銃士の後日談を描いたアレキサンドル・デュマの『鉄仮面』をレオナルド・ディカプリオが主演。
 十七世紀、ブルボン王朝、後に太陽王と称賛されるルイ十四世の時代。三銃士が大活躍したルイ十三世の時代は終わり、ダルタニアンは王宮の近衛隊長、三銃士たちはアラミスは司祭、ポルトスは飲んだくれ、アトスは息子の成長だけが楽しみの父親と、それぞれ出世と無縁なしょぼくれ中年である。
 ルイ十四世はわがまま放題の暴君で、戦争を好み、民衆を圧迫している。色好みの王はアトスの息子ラウルの恋人クリスティーヌに目をつける。王の命令でラウルを最前線に送り込み、大砲の前に立たせて、戦死させる。クリスティーヌは淫乱な王の側室となり、後に自害。
 卑劣な仕業を知ったアトスは息子の仇として王を狙い、それを阻止するのがかつての友であった近衛隊長のダルタニアン。
 暴君に反逆を試みるイエズス会のリーダーが実はアラミスであり、彼はかつての三銃士とともに、陰謀を計画。
 王によって鉄仮面を被せられ牢獄に幽閉されている双子の弟フィリップ殿下を救い出し、これを暴君とすりかえようというのだ。
 ディカプリオの二役はじめ、ダルタニアンにガブリエル・バーン、アトスにジョン・マルコヴィッチ、アラミスにジェレミー・アイアンズポルトスにジェラール・ドパルデュー。大スターの競演は見ものであった。

 

仮面の男/The Man in the Iron Mask
1998 アメリカ/公開・1998
監督:ランダル・ウォレス
出演:レオナルド・ディカプリオガブリエル・バーンジェレミー・アイアンズジョン・マルコヴィッチジェラール・ドパルデューアンヌ・パリロー

 

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