シネコラム

第67回 デーヴ

第67回 デーヴ 

平成六年一月(1994)
池袋 文芸坐

 

 主人公のデーヴは大統領と瓜二つなところから、アルバイトでそっくりショーの余興などしている。それを見込まれシークレットサービスの要請で、大統領の代役を依頼される。
 多忙な大統領の代わりにセレモニーでお決まりの挨拶をするだけの簡単な仕事だったが、ちょうどその時、女性秘書官と浮気中の本物が発作を起こして昏睡状態に陥る。
 腹黒い補佐官はこの機会を利用し、自分を副大統領に指名させるため、替え玉のデーヴにそのまま大統領役を続けさせる。替え玉の存在を知っているのは、病院関係以外では、補佐官と広報官とシークレットサービス警護官の三人だけ。
 本物の大統領は実は冷酷で陰険で人を見下す嫌なやつだった。ところが、替え玉は気さくで温厚な善人。その人柄がにじみ出て、周囲は急に大統領の性格が変わったと驚くのだ。
 補佐官の悪だくみは果たして成功するのか。それとも。といった展開の心温まるコメディである。
 今でも覚えている好きな場面。デーヴが本物のファーストレディとミュージカル『アニー』の主題歌を歌うところ。
 それと、もうひとつ。ヴィング・レイムズの警護官が替え玉の善良な人柄に惹かれて、とうとう「あなたのためなら死ねる」と心から言ってしまう場面。
 大統領とデーヴをケヴィン・クラインが二役。大統領夫人がシガーニー・ウィーバー、腹黒補佐官がフランク・ランジェラ
 トランプ大統領にもこんな替え玉がいればなあ。

 

デーヴ/Dave
1993 アメリカ/公開1993
監督:アイヴァン・ライトマン
出演:ケヴィン・クライン、シガーニー・ウィーバーフランク・ランジェラ