シネコラム

第69回 課外教授

第69回 課外教授

昭和四十六年九月(1971)
大阪 難波 なんば大劇場

 

 高校生になると、ひとりで映画館に行くようになる。ロジェ・ヴァディム監督の『課外教授』を観たのは高校三年で、私はまだ十七歳だった。
 ヴァディムといえば、芸術とセックスを融合させた耽美的フランス映画のイメージが強いが、当時の私はそんなことは知らない。
『課外教授』は気軽なアメリカのセックスコメディとして観た。きわどいシーンもたくさんあって、どきどきわくわくだったが、ポルノではないから年齢制限もなく、十七歳でも大丈夫だったのだ。
 ロック・ハドソン扮する高校教師、スポーツ万能で男子に人気があり、精力絶倫で女子にも好かれている。つまり、放課後に美人の女生徒を学内の自室で個別に指導するのだ。七十年代の初めだから、女生徒は全員が超ミニスカートだった。
 年増の美人教師アンジー・ディッキンソンも純情な男子生徒を自宅に招き、あられもない姿で相手をする。
 学園で殺人事件が起こり、テリー・サバラスの刑事が乗り込んでくる。サバラスはこのあと、TVで刑事コジャックの主役になった。事件そのものは単純で、怪しいのはロック・ハドソン先生。おろおろする校長がロディ・マクドゥール。
 それにしても、アメリカの高校はいいなあ。羨ましかった。
 ロック・ハドソンの口髭がかっこよくて、私が後年、髭を生やしたのはこの映画の影響かもしれない。
 ロジェ・ヴァディムブリジット・バルドーカトリーヌ・ドヌーブジェーン・フォンダらと浮名を流していると知ったのは、もっと後の話である。

 

課外教授/Pretty Maids all in a Row
1971 アメリカ/公開1971
監督:ロジェ・ヴァディム
出演:ロック・ハドソン、アンジー・ディッキンソン、テリー・サバラス、ジョン・デイヴィッド・カーソン、ロディ・マクドウォール、キーナン・ウィン