シネコラム

第621回 ジュエルに気をつけろ!

飯島一次の『映画に溺れて』

第621回 ジュエルに気をつけろ!

平成十三年十一月(2001)
新橋 新橋文化

 

 有吉佐和子の『悪女について』を思わせる展開。三人の男が毒婦のジュエルについて語るのだ。主演は見るからにゴージャスなスーパーモデル風の美女、リヴ・タイラー。
 酒場マックールのバーテンのランディはビンゴクラブで謎の男に会い、なにかを依頼するために語り始める。わけあり美女との出会い。繫盛のあと閉店の片づけをしていると、店の前で争うカップル。男は見るからにごろつきで女はとびきりセクシーな美女。彼女を助けて家に連れ帰るが、ビールを切らして水しかない。彼女は言う。水は二番目に好きと 。じゃ、一番は。すぐにランディは彼女ジュエルとベッドへ。そこへさきほどのごろつきユタが現れ、美人局だったとわかる。ふたりに脅され、ランディは店に戻って金庫を開けていると、ジュエルはユタを射殺。店に押し入った強盗を撃ったので正当防衛になるからとランディが罪を被る。それはそうと「二番は酒」というせりふが出てくる上方落語あり 。
 弁護士のカールは精神分析の女医にジュエルとの出会いを語る。いとこのランディがバーテンをしている酒場にとびきりの美女が客で来ていた。店が終わったあと、彼女は店の前で男と喧嘩し、それをランディが助けて連れ帰る。ふたりはその後、いっしょに暮している様子で、カールは彼女に会いたさにランディとジュエルをホームパーティに誘い、妻子がありながら、やがて彼女といい仲になる。
 刑事のデリングが教会で神父に語る。酒場で殺人事件があり、現場を検証している最中にバーテンの恋人ジュエルが入ってくる。一目惚れし、事件のことは上の空となってしまったデリングは口実を設けて度々ランディを訪れ、やはりジュエルと関係する。
 ジュエルにそそのかされ、彼女が金持ちの独身男とデートしている隙に留守宅に侵入して、いやいやながら泥棒を続けるランディ。ジュエルの嘘を信じた刑事に追い出され、頭にきて、殺し屋に彼女の殺害を依頼する。この殺し屋が最初のビンゴクラブにいた謎の男。最後はランディの家で、刑事も弁護士も殺し屋も顔を合わせての大乱戦。

ジュエルに気をつけろ!/One Night at McCool’s
2001 アメリカ/公開2001
監督: ハラルド・ツワート
出演:リヴ・タイラー、マット・ディロン、ジョン・グッドマン、ポール・ライザー、マイケル・ダグラス、リチャード・ジェンキンス、リーバ・マッキンタイア、アンドリュー・ダイス・クレイ

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