シネコラム

第620回 ミミック

飯島一次の『映画に溺れて』

第620回 ミミック

平成十年四月(1998)
飯田橋 ギンレイホール

 

 スーパーモデル並みの長身美女ミラ・ソルヴィノは『誘惑のアフロディーテ』で美の女神の外見を持つ田舎出の無知で品のない娼婦役でアカデミー賞の助演女優賞を受賞したが、実はハーバード大出身の才女である。『誘惑のアフロディーテ』のあとは、知性派だけあって、SFホラー『ミミック』で知能優秀な昆虫学者役で主演している。
 ニューヨークを中心に子供たちを死の伝染病が襲う。感染すると死ぬか、後遺症に悩まされるか。ゴキブリが感染源だとわかるが、治療法もワクチンもない。
 昆虫学者スーザンが遺伝子操作でアリとカマキリから新種の昆虫ユダの血統を作り出し、ゴキブリの天敵とする。ユダの血統には生殖能力がなく百八十日、一代で死滅する。おかげでゴキブリは駆逐され、伝染病は消える。
 三年後、巨大な怪人が人を襲う都市伝説が噂され、地下鉄の廃墟に住むホームレスが姿を消す。スーザンのもとに巨大な昆虫の幼虫を売りにきた貧民街の子供。その幼虫は彼女が作ったユダの血統に似ている。
 やがて人を襲う怪物は新種のユダの血統が短期間に進化を繰り返し、人間を餌にし、人間に擬態していることがわかる。地下鉄の廃墟に巨大な巣があった。
 スーザンの夫ピーターは友人の役人や地下鉄の警備員とともに廃墟に入り、行方不明の孫を探しにきた初老の靴磨きやスーザンと合流し、巨大化した昆虫に襲われ、殺されたり、戦ったりの展開。
 ピーターがジェレミー・ノーサム、警備員がチャールズ・S・ダットン、靴磨きの老人がジャンカルロ・ジャンニーニ、夫の友人がジョシュ・ブローリン。だれが死んで、だれが助かるのか。この映画はB級ながらヒットし、続編も作られたがスーザンは登場せず、助手役だったアリックス・コロムゼイ主演で、かなり残念な出来栄えだった。
 美貌のミラ・ソルヴィノはその後、出演作に恵まれていない。

ミミック/Mimic
1997 アメリカ/公開1998
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ミラ・ソルヴィノ、ジェレミー・ノーサム、アレクサンダー・グッドウィン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、チャールズ・S・ダットン、ジョシュ・ブローリン、F・マーリー・エイブラハム、アリックス・コロムゼイ

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