シネコラム

第565回 ワイルドパンチ

飯島一次の『映画に溺れて』

第565回 ワイルドバンチ

昭和五十年七月(1975)
大阪 中之島 SABホール

 サム・ペキンパー監督の西部劇として、一番有名なのが『ワイルドバンチ』であろう。
 二十世紀初頭の西部、メキシコ国境に近い町で軍服の強盗団が鉄道会社を襲う。首領のパイクは元軍人で、配下はかつての部下たちである。
鉄道会社はこの強盗団を破滅させるため、服役中のならず者を刑務所から仮釈放にして賞金稼ぎに雇う。ならず者たちのリーダーがかつてパイクの仲間だったソーントンで、強盗団の手の内を知り尽くしたソーントンは待ち伏せしてパイク一味を襲う。
 強盗団も追手のならず者もどちらも凶悪で、一般市民も巻き込まれて多くが死傷する。
 パイク一味のうち、生き残った者たちがパイクの手下のメキシコ人エンジェルの手引きでメキシコの村へと逃亡する。
 ソーントンたちも賞金目当てでパイクを追い、メキシコに向かう。
 エンジェルの恋人がメキシコ政府軍に拉致され、将軍の情婦になっていたため、パイク一味と政府軍、そしてメキシコゲリラ団との間で争いが起きる。
 パイクたちはメキシコ政府軍と手を結び、アメリカの軍用列車を襲い、武器をメキシコ政府に渡そうとする。
 パイク一味、メキシコ軍、ゲリラ、米軍、賞金稼ぎたちが入り乱れ、ペキンパー監督得意の大殺戮場面が次々と展開される。
 初老のパイクを演じたのがかつての二枚目スター、ウィリアム・ホールデン。脇がアーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソンなど、西部劇のベテランが顔をそろえており、ストローザー・マーティンとL・Q・ジョーンズは翌年の『砂漠の流れ者』では悪役コンビで活躍。
 軍服の強盗団はその後、ミッキー・ローク主演の『ラスト・アウトロー』で重要な設定となっていた。


ワイルドバンチ/The Wild Bunch
1969 アメリカ/公開1969
監督:サム・ペキンパー
出演:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エドモンド・オブライエン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、エミリオ・フェルナンデス、ストローザー・マーティン、L・Q・ジョーンズ、ボー・ホプキンス

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