シネコラム

第623回 スピーシーズ 種の起源

飯島一次の『映画に溺れて』

第623回 スピーシーズ 種の起源

平成八年二月(1996)
池袋 文芸坐

 

 広い宇宙には地球人類とは別の知的生命体が存在するかもしれない。という理由から宇宙の彼方にメッセージを送るという試みは実際にある。結果として悪い宇宙人に地球の存在を知られて侵略され、危機に瀕するのはSFのパターンとなっている。
 宇宙の彼方から届いた友好的な情報を元に政府の研究機関が新人類を創造する。地球外のDNAを人間に組み込み生まれた赤ん坊は一気に少女に成長し、研究所を逃げ出し、大人に脱皮する。新人類の目的は自分の子孫をこの星で繁殖させ支配すること。見た目は長身でセクシーな美女なので、男をひっかけ生殖活動を行う。知能と体力が優れ成長の速い新人類が殖え始めたら、人類なんてあっという間に滅んでしまう。
 事態を重く見た政府は殺人のプロである殺し屋をはじめ、生物学者、社会学者、予知能力者らを召集し、短期間で美しく育った異生物の処理を指示する。
 B級SFながら配役は凝っていて、研究所の代表がベン・キングズレー、殺し屋がマイケル・マドセン、生物学者がマーグ・ヘルゲンバーガー、社会学者がアルフレッド・モリーナ、予知能力者がフォレスト・ウィテカー。
 ストーリーはご都合主義そのもので、非常に狭い世界で、チームはすぐに新人類に追いついてしまうが、なかなか解決できなくてもどかしい。
 この映画の唯一の見どころは新人類役のナターシャ・ヘンストリッジの美しさ。ヘンストリッジは『隣のヒットマン』の殺し屋ブルース・ウィリスの妻の役がなんとも妖艶だった。そして、新人類の少女時代を演じるのがミシェル・ウィリアムズである。
 宇宙に送ったメッセージがとんでもない大騒動になる設定の映画はいろいろとあるが、英国喜劇の『ミラクル・ニール!』が私は好きだ。
 いずれにせよ、宇宙人が現実に存在するなんて、私は信じていないが、ナターシャ・ヘンストリッジのような美貌の宇宙生物になら、出会ってみたいとは思う。

スピーシーズ 種の起源/Species
1995 アメリカ/公開1995
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ベン・キングズレー、マイケル・マドセン、アルフレッド・モリーナ、フォレスト・ウィテカー、マーグ・ヘルゲンバーガー、ナターシャ・ヘンストリッジ、ミシェル・ウィリアムズ

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