シネコラム

第581回 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3

飯島一次の『映画に溺れて』

第581回 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3

令和五年五月(2023)
立川 TOHOシネマズ立川立飛

 

 宇宙海賊ラヴェジャーズに幼い頃拉致された地球人ピーター・クイルが宇宙の暴れ者スター・ロードとなって活躍する『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズには様々なキャラクターが登場する。
 ピーター以下、巨悪サノスの養女である殺し屋ガモーラ、怪力の大男ドラックス、「アイアムグルート」のせりふしかない樹木生物グルート、ガモーラの義妹でサイボーグのネビュラ、相手の心を操るマンティス。とても善良とは思えない彼ら銀河のお尋ね者たちがチームを組んで宇宙の巨悪と戦うのがガーディアンズ・オブ・ギャラクシーなのだ。
 中でも特異なメンバーがアライグマのロケット。人語を話し、戦闘能力も優れている。シリーズ三作目のオープニングは実験用の動物を集めた檻の中で蠢くアライグマたち。その中の一匹を取り上げる白衣の男。わくわくする出だしである。
 ガーディアンズの拠点ノーウェアに飛行する強敵が突入し、戦闘でロケットが重傷を負い昏睡状態となる。救う方法はロケット出生の秘密に迫らねばならない。瀕死のロケットの中で走馬灯のようにおいたちが回想される。進化を操る独裁者によって改造されたアライグマ89P13が檻の中で出会ったカワウソ、セイウチ、ウサギの三体はいずれも機械化されているが知性と感情を持ち、仲良くなる。檻の外に出て空を見たいと願う彼らは自ら名前を付け、カワウソがライラ、セイウチがティーフ、ウサギがフロアと名乗る。アライグマ89P13も言う。自由に空を飛びたいから、俺の名はロケットにする。
 知能の優れたロケットの助言で、独裁者は動物の人間化に成功し、試作品のライラ、ティーフ、フロアを処分し、89P13の脳を摘出しようとするが、ロケットひとり脱出し、やがてガーディアンズに加わったのだ。なるほどと思わせるアライグマのおいたち。
 様々な動物を進化させ完全な世界を作ろうとする似非創造主の本拠地にガーディアンズの仲間たちは向かう。そこはまるでモロー博士の島ではないか。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3/Guardians of the Galaxy Vol. 3
2023 アメリカ/公開2023
監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイブ・バウティスタ、カレン・ギラン、ポム・クレメンティエフ、ビン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、ショーン・ガン、チュク・イウジ、ウィル・ポールター、シルベスター・スタローン

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