第563回 バイオレント・ナイト
令和五年二月(2023)
新宿歌舞伎町 TOHOシネマズ新宿
クリスマスストーリーといえば、アルバート・フィニー主演のミュージカル『クリスマスキャロル』や、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生』など、文句なしに大好きな作品が数えきれない。あの『ダイハード』さえ聖夜が舞台である。
さて、クリスマスイブの夜、パブでサンタクロースの衣装を着た初老の男がビールをがぶがぶ飲んでいる。げっぷをしながら、近頃はプレゼントに現金を欲しがる夢のない子供が増えたと世相を嘆き、年配の女性スタッフに孫にやってくれとプレゼントの包みを渡して、非常口から出ていく。あら、どうしてサンドイッチマンがあたしの孫の名前を知ってるの。そっちは出口じゃないわよ。すべったら危ないわ。女性スタッフが酔っ払いサンタを追って屋上に出ると、男の姿はなく、トナカイの橇が夜空を飛んでいくのが見えるのだ。
コネチカットの大富豪ライトストーン家のクリスマス。この広大な屋敷の女主人ガートルードが息子のジェイソン一家と娘のアルヴァ一家を招いての豪華なホームパーティ。ジェイソンは幼い娘のトルーディと元妻のリンダと参加。この豪邸に空から酔っ払ったサンタが舞い降りる。プレゼントを待つ子供たちの名が書かれた巻物となんでも出てくる袋を持参だが、部屋にある高級酒の瓶につい目が行ってしまう。
屋敷にスクルージと名乗る男が乗り込み、その合図でケータリングサービスのスタッフたちが銃を取り出し、屋敷の使用人や警備員を皆殺しにして家族を一室に集める。首領のスクルージの目的はこの屋敷の地下金庫に眠る三億ドル。
たまたま惨劇に居合わせ、少女トルーディの願い事を聞いたサンタは、酔っ払いながらも凶悪な強盗団と戦うことになる。サンタとはいえ、不死身ではなく、銃で撃たれたりナイフで突かれたりすれば傷つく。が、とてつもなく強い。巻物のリストに名前のある悪い大人たちは次々とサンタのハンマーで頭を叩き潰される。が、クリスマス嫌いの悪賢いスクルージも負けてはいない。クリスマスマジックは起きるのだろうか。
バイオレント・ナイト/Violent Night
2022 アメリカ/公開2023
監督:トミー・ウィルコラ
出演:デヴィッド・ハーバー、ジョン・レグイザモ、アレックス・ハッセル、アレクシス・ラウダー、リア・ブレイディ、ビヴァリー・ダンジェロ、エディ・パターソン、カム・ギガンデット、アンドレ・エリクセン