シネコラム

第534回 アイ、ロボット

第534回 アイ、ロボット

平成十六年十月(2004)
渋谷 渋東シネタワー2

 

 アイザック・アシモフの『われはロボット』を原作としたSFミステリーであり、ロボット三原則が謎解きの手がかりとなる。ロボット三原則とは、簡単に言えば、
一、ロボットは人間に危害を加えてはならない。
二、ロボットは人間の命令に従わねばならない。
三、ロボットは以上のふたつに反しない限り自分を守らねばならない。
 ロボットが新しい家電製品として普及しつつある近未来、躍進するロボット製造企業で開発者のラニング博士が社内の研究室の窓から落下して死亡する。
 事件を担当するスプーナー刑事はロボットを敵視している。かつて融通のきかないロボットのせいで、目の前で少女が溺れ死んだことが、彼のトラウマになっているのだ。
 ロボット企業の研究室には博士しかいなかった。他殺の線は薄いが、強化ガラスの窓を老人である博士が叩き割って外へ落ちたとも考えにくい。自殺とすればどうやって。すると、室内に置かれていた一体の最新型ロボットが突然動き出し、逃亡する。
 博士はこのロボットに殺されたのか。が、ロボットは人間を傷つけることはできないはずだ。逃げた最新型ロボットに欠陥があったのか。
 ロボット嫌いのスプーナーは逃げたロボットを疑い、ラニング博士の助手だった美人心理学者とともにロボットを追う。
 会社は大々的に新型ロボットを売り出す直前で、ロボットの欠陥は認めず、スプーナーの捜査を妨害する。自殺か、他殺か、ロボット三原則に矛盾せずロボットが博士を殺すことは可能だろうか。派手なSFアクションでありながら、論理的な推理が楽しめる。
 そして、この映画で描かれる未来像。コンピュータグラフィックスの進歩あればこその完成度である。

 

アイ、ロボット/I, Robot
2004 アメリカ/公開2004
監督:アレックス・プロヤス
出演:ウィル・スミス、ブリジット・モイナハンブルース・グリーンウッド、シャイ・マクブライド、アラン・テュディック、ジェームズ・クロムウェル

 

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