シネコラム

第535回 A.I.

第535回 A.I.

平成十三年七月(2001)
新宿歌舞伎町 ミラノ座

 

シックス・センス』で脚光を浴びた子役のハーレイ・ジョエル・オスモントが主演の未来SF。人を愛し、人間になりたいと願うロボットの物語。
 難病で不治の息子を凍結入院させている夫婦が新型ロボットのモニターに選ばれる。これが人間そっくりの子供ロボット。ロボットのデビッドを迎え入れた夫婦。妻がデビッドに自分が母親だとセットすると、そのとたん、少年は母を人間のように慕うようになる。
 やがて、医学の進歩で実の子の難病が治り、家に戻って来る。そうなると、ロボットは邪魔な存在。非情にも廃品として捨ててしまう。
 ここから捨てられたロボット少年の旅が始まる。なぞられるのは少年が愛読していた『ピノキオ』の物語。人間になりたいピノキオは女神と出会い、願いを叶えてもらう。デビッドも女神を求めてさまよう。
 そしてロボット狩りの一団に捕まり、破壊ショーに出される。人間は人間そっくりのロボットを憎み、破壊して楽しんでいる。ここでデビッドが出会うのがジュード・ロウのジゴロロボット。ジゴロはデビッドほど精巧にできていないので、顔がコンピューターグラフィックスで描かれたように作りものめいている。
 デビッドとジゴロはここを脱出し、女神を求めて旅に出る。
 そして行き着いたのがデビッドを作った博士の研究所。ここでも彼は人間にはなれない。ロボット破壊のための警察がやって来て、ジゴロはデビッドを逃がして自分は捕らわれ破滅する。
 デビッドを乗せた車は海に沈んだ遊園地の前で停止するが、たまたまそこに女神の人形があり、デビッドは動力が切れるまで人間になりたいと願い続ける。果たしてピノキオのように願いが叶えられるのだろうか。
 デビッドを創造したウィリアム・ハートの博士は『鉄腕アトム』の天馬博士を思わせる。              

 

A.I. /A.I. Artificial Intelligence
2001 アメリカ/公開2001
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメントジュード・ロウ、フランセス・オコナー、サム・ロバーズ、ジェイク・トーマス、ウィリアム・ハートブレンダン・グリーソン