シネコラム

第473回 ラッキーナンバー7

第473回 ラッキーナンバー7

平成十九年五月(2007)
飯田橋 ギンレイホール

 

 警察官役の多いブルース・ウィリスだが、殺し屋もまたよく似合う。『ジャッカルの日』のリメイク『ジャッカル』やコメディ『隣のヒットマン』はヒットした。
 やはりウィリスが殺し屋を演じた『ラッキーナンバー7』はさほど話題にならなかったが、地味な小品ながら巧妙な犯罪ドラマとして楽しめる。
 最初、空港のロビーでひとりの若者が車椅子に乗った中年男に話しかけられる。そこで語られるのが二十年前の競馬の八百長事件にまつわる話で、たまたま八百長を耳にした男が大金を儲けようとして、組織に気づかれ、家族もろとも消されてしまったいう悲劇。
 場面は変わって、田舎から出てきた青年スレヴンが友人のアパートに泊めてもらっていると、いきなりギャングの手下が現れ、親分のもとに連れて行かれる。
 どうやら友人と間違われているようで、スレヴンの友人は街を牛耳る二つの組織、黒人ギャングとユダヤ系ギャングの両方から賭博の借金をしているらしい。人違いだといっても信じてもらえず、痛めつけられ、返金を迫られ、二つの組織の抗争に巻き込まれる。
 そこに現れるのが殺し屋グッドキャット。この殺し屋が最初に空港にいた車椅子の中年男と同じ人物なのだ。
 グッドキャットは二つの組織の対立を利用して、何か企んでいる。それが二十年前の八百長事件とどう関わってくるのか。これ以上、あらすじは語れないが、最後にジグソーパズルのようにぴたりぴたりと疑問点が解明される。
 田舎出の純情青年スレヴンがジョシュ・ハートネット、二組のギャングのボスがモーガン・フリーマンベン・キングズレー、刑事がスタンリー・トゥッチ、ノミ屋がダニー・アイエロ。スレヴンといい仲になるアパートの隣の女がルーシー・リュー。なかなか渋い配役である。

 

ラッキーナンバー7/Lucky Number Slevin
2006 アメリカ/公開2007
監督:ポール・マクギガン
出演:ジョシュ・ハートネットブルース・ウィリスルーシー・リューモーガン・フリーマンベン・キングズレースタンリー・トゥッチダニー・アイエロ