シネコラム

第453回 ロック・ユー!

第453回 ロック・ユー!

平成十四年三月(2002)
新橋 新橋文化

 ヒース・レジャー主演の中世騎士物語。詩人のチョーサーやエドワード黒太子が登場するので、十四世紀のヨーロッパが背景である。
 ウィリアムはイングランドの庶民出身で、騎士エクター卿の従者として諸国を遍歴していたが、槍試合に出る直前にエクター卿が急死する。もともと武芸が得意のウィリアムは鎧兜に身分を隠し、主人の代わりに試合に出て優勝の賞金を手にする。
 仲間のふたりの従者と金を山分けし別れようとしたが、ここに野心が目覚める。この先も身分を偽りながら、武芸試合に出場し続けたい。いつか本物の騎士になることが彼の子供の頃からの叶わぬ夢だった。
 武芸試合の出場資格は騎士以上の貴族にしかなく、身分がばれたら罰せられるが、ふたりの仲間もウィリアムの熱意と先々の賞金につられて皮算用で協力する。旅の途中で出会った賭事好きの詩人ジェフリー・チョーサーを仲間に入れ、ものものしい貴族の経歴と立派な名前を捏造させ、試合に出場。鎧の修理が得意な女鍛冶屋も仲間に加わる。
 競技場の場面、流れるのがクイーンの『ウイ・ウィル・ロック・ユー』なのだ。観衆はクイーンの曲に合わせて、まるで現代のスポーツ大会のごとき熱狂ぶり。
 ウィリアムは貴族の娘ジョスリンと出会い、彼女のためにも試合に勝ち続け、やがて恋仲となる。エドワード黒太子が身分を隠して試合に出ているのを、他の騎士たちは遠慮して棄権するが、ウィリアムだけは堂々と一戦を交え引き分けとなる。
 とうとう生まれ故郷ロンドンでの決勝戦。相手役の伯爵は腹黒い卑劣漢で、ウィリアムの出自を嗅ぎつける。試合に出れば身分詐称で捕縛される。ジョスリンも仲間たちもこの場から逃亡することを勧めるが、ウィリアムは名誉を重んじ、競技場に向かうのだった。
 ヒース・レジャーの早すぎた死が惜しまれる。

 

ロック・ユー!/A Knight’s Tale
2001 アメリカ/公開2001
監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:ヒース・レジャールーファス・シーウェル、シャニン・ソサモン、マーク・アディ、アラン・テュディック、ポール・ベタニー、ローラ・フレイザーベレニス・ベジョ、クリストファー・カザノフ、ジェームズ・ピュアフォイ