シネコラム

第417回 ワンダーウーマン

第417回 ワンダーウーマン

平成二十九年七月(2017)
西新橋 ワーナーブラザース試写室

 

 マーベルがアベンジャーズを結成したのに対し、DCコミックスもまたスーパーマンバットマンたちをジャスティスリーグで集結させた。その中の紅一点がワンダーウーマンである。
 ベースはギリシア神話の英雄譚であろう。かつて神話のヘラクレスペルセウスは神々の王ゼウスが人間の王族の娘と交わって生まれた半神半人のヒーローだったのだ。
 ゼウスの息子である悪神アレスが父に背いて人間に争いの心を芽生えさせ堕落させる。ゼウスは人間界から隔絶した異界にアマゾネスの島セミッシラを創造し、アレスに対抗する。女王ヒッポリタの娘ダイアナは最強の戦闘能力を持つ戦士として成長した。
 ある日、ひとりの男がセミッシラに不時着する。異界の外は第一次世界大戦の最中であり、男は米軍スパイのトレバーだった。ドイツ軍の追跡をかわし偶然にも境界を飛び越えてしまったのだ。それを追って島に押し寄せるドイツ軍。アマゾネスとドイツ軍との壮絶な戦闘が繰り広げられる。多くの犠牲を出しながらも女たちは上陸したドイツ軍を全滅させる。
 外の人間界が戦争状態であるのは戦いの神アレスが力をふるっているからだ。ダイアナはトレバーとともにセミッシラをあとにし、海を渡ってロンドンへ赴き、第一次世界大戦を終息させようとする。休戦に反対のドイツ軍総監ルーベンドルフは強力な毒ガス兵器を開発し、一気に敵方ばかりか世界をも滅ぼそうと企てる。このルーベンドルフこそが、悪神アレスだと確信したダイアナはワンダーウーマンとなり、宝剣ゴッドキラーを手に、国境の塹壕を乗り越えて、最前線のドイツ陣営に迫る。
 第一次世界大戦塹壕を扱った映画は『西部戦線異状なし』から最近の『1917』までたくさんあるが、実際にスーパーヒーローが戦争に関われば、味方された側が勝利するに違いない。
 それにしても、ダイアナを演じる長身のガル・ガドット。セクシーな衣装と鍛え抜かれた肉体美の魅力にうっとりするばかり。

 

ワンダーウーマン/Wonder Woman
2017 アメリカ/公開2017
監督:パティ・ジェンキンス
出演: ガル・ガドットクリス・パインロビン・ライトダニー・ヒューストンデヴィッド・シューリスコニー・ニールセンエレナ・アナヤ