シネコラム

第388回 ヤング・フランケンシュタイン

第388回 ヤング・フランケンシュタイン

昭和五十一年一月(1976)
大阪 千日前 大劇名画座

 

 小学生の頃、TVで毎週欠かさず観ていたのが『ザ・マンスターズ』というアメリカのコメディ。毎回マンスター家にちょっとした問題が持ち上がるというホームドラマ仕立てだが、一家の主人のハーマン・マンスターがボリス・カーロフそっくりのフランケンシュタインの怪物、妻は女吸血鬼、息子は狼男、おじいちゃんは天井にコウモリのようにぶら下がっているベラ・ルゴシ風の魔人ドラキュラといった具合。一家の苗字は小学生にもわかる初歩的なモンスターの洒落。このころから私はパロディが好きだったのだ。
 私が映画館で初めて観たフランケンシュタインのパロディはメル・ブルックス監督の『ヤング・フランケンシュタイン』である。
 現代のアメリカで外科医として暮らすフレッド。彼は自分の先祖が忌まわしい伝説のフランケンシュタイン男爵であることを恥じて隠している。トランシルバニアから使者が来て、結局のところ、先祖の地へ行き人造人間の創造を引き継ぐことに。
 ユニバーサル映画のオリジナルに即したストーリーがドタバタコメディ風に展開する。音楽も凝っていて、物悲しいヴァイオリンから、おどろおどろしいオープニングへと続くテーマ曲。そしてフレッドと怪物がアステア風に歌って踊るリッツ。
 フレッド・フランケンシュタインジーン・ワイルダー、怪物がピーター・ボイル、助手イゴールマーティ・フェルドマン、許婚がマデリン・カーン、森の隠者がジーン・ハックマン、家政婦がクロリス・リーチマン、若い女中がテリー・ガー。配役も最高だった。
 なにしろ、ピーター・ボイルはヒッピー殺しの『ジョー』だし、クロリス・リーチマンは『ラスト・ショー』のコーチの陰気な奥さん、マデリン・カーンは『ペーパー・ムーン』の色っぽい娼婦、ジーン・ハックマンは『フレンチ・コネクション』、当時馴染みの個性派俳優がそれぞれとんでもない役を演じていて、私はひたすらうれしかった。
 ジーン・ワイルダーフランケンシュタインの曾孫役のあとは、シャーロック・ホームズの弟で監督、主演する。こちらの共演はフェルドマンとマデリン・カーンだった。

 

ヤング・フランケンシュタイン/Young Frankenstein
1974 アメリカ/公開1975
監督:メル・ブルックス
出演:ジーン・ワイルダーピーター・ボイルマーティ・フェルドマン、マデリン・カーン、クロリス・リーチマ、テリー・ガー、ケネス・マース、ジーン・ハックマン

 

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