シネコラム

第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show

第365回 ラスト・ショー/The Last Picture Show

昭和四十七年九月(1972)
大阪 難波 南街シネマ

 

 一年三百六十五日、毎日一本好きな映画を書き続ける『映画に溺れて』もいよいよ今回が三百六十五日めとなった。だから『ラスト・ショー』である。
 時代背景は一九五〇年代、場所はテキサスの田舎町。ふたりの高校生、おとなしいソニーがティモシー・ボトムズ、やんちゃなデュエーンがジェフ・ブリッジス、これが不思議と馬が合い仲がいい。デュエーンのガールフレンド、ジェイシーがシビル・シェパード。プールのヌードパーティ場面ではどきどきした。ソニーとデュエーンは気まぐれなジェイシーに振り回されて殴り合う。
 ジェイシーの母親の金持ち夫人がエレン・バースティンで、まだまだ美しい中年女性であり、その昔の恋人が西部劇から抜け出たような老カウボーイ、サム。これがベン・ジョンソン
 時代の流れは田舎町をどんどんさびれさせ、映画館も閉館となる。そこで最後に上映されるのが『赤い河』だった。
 この映画でピーター・ボグダノヴィッチという監督の名前が鮮烈に焼きついた。
 実は私がこの映画を観たのが十八歳のときで、ちょうどふたりの主人公と同世代だったのだ。
 後年、『ラスト・ショー2』が公開されたとき、期待に胸をふくらませて日比谷シャンテシネに観に行った。あれから三十年後の一九八〇年代が舞台。若者たちは中年となり、ソニーは市長、デュエーンは実業家、ジェイシーは都会で女優になっている。期待が大きすぎたのか、あまり印象に残らなかった。ティモシー・ボトムズソニーが痛々しく、思えば私自身も中年になっていたのである。

 

ラスト・ショー/The Last Picture Show
1971 アメリカ/公開1972
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:ティモシー・ボトムズジェフ・ブリッジスシビル・シェパードベン・ジョンソン、クロリス・リーチマン、エレン・バースティン、アイリーン・ブレナン、クルー・ギャラガー、サム・ボトムス、ランディ・クエイド

 

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