第363回 ショーシャンクの空に
平成七年十一月(1995)
池袋 文芸坐
これは大好きな作品で、映画館で四回観ている。原作はスティーブン・キングの『刑務所のリタ・ヘイワース』
泥酔したエリート銀行員アンディ・デュフレーンが銃を携え、妻の浮気現場であるプロゴルファーの家の前で自動車を停めている。
妻とゴルファーは射殺され、アンディは無実を主張し、物的証拠がないまま有罪で終身刑となる。時代はリタ・ヘイワースがスターだった一九四〇年代。刑務所で新入りのアンディをじっと観察しているのが黒人の殺人犯で便利屋のレッド。これはレッドの視点から見たアンディについての物語である。
所長は偽善者。冷酷な看守長は平気で囚人を殴り殺す。凶暴なゲイの囚人に襲われながらもアンディは耐えている。
アンディの独房に貼られたセクシー女優のポスター、最初はリタ・ヘイワース。これがマリリン・モンローになり、最後には『恐竜百万年』のラクエル・ウェルチになる。それだけ長い期間、ずっと刑務所に入っているわけだ。終身刑だから。
重労働に従事し、やがて銀行家としての才能を発揮し、看守や所長に優遇される。気取ったエリートのアンディを最初はバカにしていた他の囚人たちも、いつしか彼に一目置くようになる。この男は本当に有罪なのか、それとも無実なのか。
アンディのティム・ロビンス、レッドのモーガン・フリーマンのふたりはもちろん、他の配役も凝っていて、偽善者の悪徳刑務所長がボブ・ガントン、鬼看守長がクランシー・ブラウン、図書係の老囚人がジェームズ・ホイットモア、陽気な囚人がウィリアム・サドラー、後に入ってくる若い囚人がギル・ベロウズ。
囚人たちが娯楽として所内で映画を観る場面、上映される『ギルダ』がリタ・ヘイワースの主演作である。私は後に池袋の新文芸坐で観る機会を得た。
ショーシャンクの空に/The Shawshank Redemption
1994 アメリカ/公開1995
監督:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン、ジェームズ・ホイットモア、クランシー・ブラウン、ギル・ベロウズ