シネコラム

第345回 ニューヨーク1997

第345回 ニューヨーク1997

昭和五十六年六月(1981)
大阪 難波 南街文化

 

 一九七〇年代のニューヨークは治安が最悪、犯罪率がうなぎ上りとなる。この事実を踏まえた一九八一年製作の近未来SFが『ニューヨーク1997』である。
 一九九〇年代、犯罪者は増加の一途をたどり、もはや従来の刑務所では収容できなくなる。政府はニューヨークのマンハッタン島を巨大な塀で取り囲み、そこを重罪犯専用の刑務所とした。島内には看守などは存在せず、国中から集められた終身犯たちが文字通りの弱肉強食で生息している。
 米ソ中の三か国会議に向かう大統領を乗せた専用機がテロリストにハイジャックされて、このマンハッタン島に墜落。大統領はからくも脱出用ポッドで機外に逃れるが、島内の囚人たちに拉致される。
 大統領を人質に取った囚人たちからの要求はマンハッタン島の解放。
 三か国会議に大統領が出席しなければ、アメリカは国際的に不利な立場になる。が、囚人の要求は飲めない。
 そこで、大統領を救出するために、ひとりの男が密かに送り込まれる。
 元特殊部隊の有能な戦士でありながら、凶悪犯としてマンハッタンに収容が決まっていた片目のスネーク。大統領を無事に救い出せれば、罪は帳消し。制限時間は二十四時間。それまでに救えなければ、首に仕掛けられた爆弾が作動する。
 スネークを演じるのはカート・ラッセル。若い頃はディズニーのSFコメディで気のいい青年だったが、この『ニューヨーク1997』あたりから、強面のタフガイ役が増えた。
 警察署長のリー・ヴァン・クリーフ、大統領のドナルド・プレザンス、島内のタクシー運転手アーネスト・ボーグナイン、囚人のハリー・ディーン・スタントンなど、当時の名脇役がいっぱい。

 

ニューヨーク1997/Escape from New York
1981 アメリカ/公開1981
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセルリー・ヴァン・クリーフアーネスト・ボーグナインドナルド・プレザンスアイザック・ヘイズハリー・ディーン・スタントン