映画批評

第344回 ソイレントグリーン

第344回 ソイレントグリーン

昭和四十八年十一月(1973)
大阪 堂島 大毎地下

 

 悲惨な二十一世紀である。時代設定は二〇二二年。国家は機能しなくなり、利益優先の企業が世界を支配している。
 水も食料も不足し、本物の肉や野菜は高価すぎて庶民の口には入らない。トップ企業ソイレントグリーン社が配給する合成食品ソイレントグリーンで人々は飢えをしのいでいるのだ。
 このソイレントグリーン社で殺人事件が起きて、チャールトン・ヘストンふんする刑事が調査を始める。
 生きる希望を失って自ら安楽死センターへ行く老人を演じていたのがエドワード・G・ロビンソン。この映画が遺作となったロビンスンは当時七十代後半であった。
 枯渇した食料をソイレントグリーン社はどのようにして調達しているのか。安楽死センターを裏で経営しているのが、この企業なのだ。
 殺人事件を捜査するうち、刑事はソイレントグリーンの材料が何であるか、最後に知ることになる。
 水道の蛇口をひねっても水がちょろちょろとしか出てこない場面が忘れられない。
 私はまだ十代だったのだ。二十一世紀、それも二〇二二年なんて、はるか先の未来だと思っていたのに。
 人口増加と食糧危機、広がる格差、映画に出てくる未来は悪夢だが、二〇二二年という年号だけはまさに今である。食糧自給率をなんとかしなくては。安楽死センターにだけは行きたくないから。

 

ソイレントグリーン/Soylent Green
1973 アメリカ/公開1973
監督:リチャード・フライシャー
出演:チャールトン・ヘストン、リー・テイラー・ヤング、エドワード・G・ロビンソンチャック・コナーズ、ジョセフ・コットン