シネコラム

第325回 ウエスタン/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

飯島一次の『映画に溺れて』

第325回 ウエスタン/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

令和元年八月(2019)
渋谷 ユーロライブ

 イタリアでクリント・イーストウッド主演の西部劇を三本撮り、世界で大ヒットさせたセルジオ・レオーネ監督は、マカロニウエスタンの名手としてハリウッドに進出、そこで撮ったのが『ウエスタン』である。日本では短縮版が公開されたが、後にタイトルを『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』として、オリジナル全長版が上映された。
 荒野の小さな駅に三人の無法者が現れ、駅員を脅して、汽車を待つ場面。その映像美に最初から引き込まれる。
 降り立ったのはチャールズ・ブロンソンふんする一匹狼、いつもハーモニカを吹いているのでその名もハーモニカ。
 開拓民一家の父親が都会で再婚し、花嫁を迎えるパーティの準備。そこに現れる黒いコートの一団、残忍な一家皆殺し。いつもは善人役の多いヘンリー・フォンダが不気味な殺し屋フランク。平気で子供を撃ち殺す。
 クラウディア・カルディナーレの花嫁ジルが到着すると、パーティ会場は葬式の最中だった。
 フランクに開拓民一家皆殺しの罪を着せられる盗賊団の首領シャイアンがジェイソン・ロバーズ。
 ハーモニカ、フランク、ジル、シャイアンを演じる四大スターが絡み合い、西部の町、鉄道、馬車、酒場、牧場、ガンマン、盗賊団など、古き良き時代のアメリカ西部劇のスタイルにマカロニウエスタンの味わいを組み合わせた作品である。ふんだんに盛り込みすぎて、全長版の上映時間は二時間四十五分。

エスタン/Once Upon a Time in the West
1968 イタリア・アメリカ/公開1969 オリジナル全長版2019
監督:セルジオ・レオーネ
出演:クラウディア・カルディナーレヘンリー・フォンダ、ジェイソン・ロバーズ、チャールズ・ブロンソン