シネコラム

第264回 デンジャラス・ビューティ

第264回 デンジャラス・ビューティ

平成十三年十一月(2001)
新橋 新橋文化

 サンドラ・ブロックの映画はシリアスよりもコメディが私は好きだ。中でも美人コンテストを扱った『デンジャラス・ビューティ』が楽しい。
 FBI捜査官のグレイシーは男まさりで女性らしい魅力に欠ける。髪はぼさぼさ、化粧気はなく、言葉使いは汚く、行儀も悪い。ビールをラッパ飲みして、豚のように鼻を鳴らして下品に笑う。子供の頃から喧嘩だけは強くて、腕力には自信があるが、そんな彼女に男はだれひとり見向きもしない。
 FBIに連続爆弾魔が謎の挑戦状を送って来る。解読すると、次に狙われるのは、ミス・アメリカのコンテスト会場らしい。それを阻止するために、当局は会場に潜入捜査官を送り込むことになる。FBIには美女は少なく、囮役に選ばれたのがグレイシー。ベテラン美容コンサルタント、ゲイのヴィクターが雇われ、女っ気の全然ないサンドラを欠員のできたミス・ニュージャージーに仕立てあげる。
 爆弾事件を未然に防ぐため、グレイシー八百長でベスト五人に選ばれるが、ヴィクターは手を抜かず、外見の美しさだけでなく、仕種や言葉使いを徹底して仕込む。コンテスト特有のスピーチや特技。
 ミスコンテストに出る女なんて、どうせみんな頭からっぽ、と思っていたグレイシーだが、選抜に勝ち抜いてきた各地のミスたちの前向きな姿に共感。ヴィクターのしごきの甲斐あって、実力で準ミスにまで選ばれて、いよいよ犯人と対決。
 ゲイのヴィクター役がマイケル・ケイン。一九七〇年代の美女、キャンディス・バーゲンがコンテスト理事長。スタートレックの初代艦長ウィリアム・シャトナーもちらりと出てくる。


デンジャラス・ビューティ/Miss Congeniality
2001 アメリカ/公開2001
監督:ドナルド・ペトリ
出演:サンドラ・ブロックマイケル・ケイン、ベンジャミン・ブラット、ウィリアム・シャトナー、アーニー・ハドソン、キャンディス・バーゲン