シネコラム

第261回 サンタクローズ

第261回 サンタクローズ

平成七年十二月(1995)
日比谷 シャンテシネ3

 サンタさんは本当にいるのか。宇宙人や幽霊の実在を口を酸っぱくして語る大人はいても、サンタクロースの存在を証明するために熱くなる大人はあまりいない。宇宙人や幽霊よりも、サンタさんがいたほうが、世の中ずっと楽しいと思うのだが。
 昔、TVのミステリーゾーンに『弱き者の聖夜』という一話があり、クリスマスにデパートで宣伝に雇われているサンタ姿の酔いどれ老人が、集まってくる貧しい子供たちにプレゼントを配れないのが悲しくて、さらに酔っぱらってデパートをクビになる。ところが不思議なことが起きて、最後は本物のサンタになるという奇妙な味わいのコメディだった。
 普通のお父さんがサンタクロースになる話といえば、ティム・アレン主演の『サンタクローズ』である。
 離婚して目下ひとり暮らしの玩具会社の管理職。別れた妻がクリスマスイブに息子を置いて行く。普段は会えない息子と過ごす楽しいクリスマス。
 夜中に物音がして外へ出てみると、屋根の上から赤い服の太った老人が足を滑らせ落ちてくる。これがサンタクロースで、このお父さん、落ちたサンタの代わりにされてしまい、息子といっしょにトナカイの引くソリで子供たちにプレゼントを配って回る。こんな話は誰も信じないが、学校で自慢した息子が嘘つき呼ばわりされる。
 ということは、夢かと思っていたが、どうやら本当らしい。で、次の年のクリスマスが近づくと、体が太ってきて、白い髭が伸び、本物のサンタクロースらしくなってくる。別れた妻は彼を妄想狂だと怒って、クリスマスなのに息子に会わせない。息子は父親といっしょに今年もプレゼントを配りたがって、家を抜け出し会いに来る。そのためお父さんは誘拐犯にされ、警官隊に包囲される。
 そこをトナカイのソリで脱出するので、ようやく元妻にも本物のサンタだとわかってもらえるというコメディ。実に楽しく続編、続々編も作られた。


サンタクローズ/The Santa Clause
1994 アメリカ/公開1995
監督:ジョン・バスキン
出演:ティム・アレン、ジャッジ・ラインホルド、ウェンディ・クルーソン、エリック・ロイド、デヴィッド・クロムホルツ、ピーター・ボイル

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