シネコラム

第257回 携帯忠臣蔵/世にも奇妙な物語 映画の特別編

第257回 携帯忠臣蔵世にも奇妙な物語 映画の特別編

平成十三年一月(2001)
新宿 新宿文化シネマ3

 一九八〇年代の終わり頃、深夜TVで『奇妙な出来事』という番組があった。『トワイライトゾーン』を思わせる怪奇、SF、ミステリ、ファンタジーなどの短編ドラマで、毎回斉木しげるがロッド・サーリングの役回りだった。私はけっこう好きだったが、これが深夜から早い時間に移ってタイトルが『世にも奇妙な物語』となり、前説もタモリに変わる。
 星新一の短編など、いくつか記憶に残っているが、その頃から、私はだんだんTVを見なくなったので、『世にも奇妙な物語』からも遠ざかっていた。
 映画館で観た『映画の特別編』は『雪山』『携帯忠臣蔵』『チェス』『結婚シミュレーター』の四話からなるオムニバスで、シリーズとしては珍しい時代劇が『携帯忠臣蔵』である。
 元禄十四年、赤穂藩が取り潰されて、やる気なく、だらだらと浪人暮らしをしている大石内蔵助。道端で奇妙な物体に目をとめる。拾ってみると、なにやら声が聴こえる。
 大石は昼行燈と揶揄されるだけあって、万事駄目男である。お家再興もどうでもよく、吉良家討ち入りなんて考えてもいない。
 ところが、この物体から聴こえてくる不思議な声とやりとりするうち、その指示に従って、とうとう最後は討ち入りを果たしてしまう。
 この不思議な物体は過去の事件を調査するため未来から送られてきた携帯電話であり、結局、事実は歴史に記録された通りだったというオチ。忠臣蔵と携帯電話の組み合わせは面白いのだが、ただし、描かれる江戸時代、せりふなど現代風すぎて物足りない。
 大石役の中井貴一がコメディ演技に目覚めたのは、この頃からだろうか。


携帯忠臣蔵
2000
監督:鈴木雅之
出演:中井貴一奥菜恵戸田恵子八嶋智人勝地涼酒井敏也

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