シネコラム

第242回 ターミネーター

第242回 ターミネーター

昭和六十三年八月(1988)
三鷹 三鷹オスカー

 

 最初の『ターミネーター』を観たのは公開から三年後、三鷹オスカーの三本立てで、あとの二本は忘れもしない『ブレードランナー』と『ロボコップ』だった。今では信じられないほど贅沢な、夢のような映画館があったのだ。
ターミネーター』はアーノルド・シュワルツェネッガーが大スターになるきっかけであり、ジェームズ・キャメロン監督をSF映画の巨匠に押し上げた。
 核戦争で人類の大半が死滅した二〇二九年、世界を支配するコンピュータ軍と生き残りの人間軍が戦っている。人間側の指導者ジョン・コナーの働きで戦況が不利になったコンピュータ「スカイネット」は、タイムマシンで一九八四年に殺人ロボットターミネーターを送り込み、ジョン・コナーの母親になる予定のサラ・コナーを抹殺しようとする。母親が死ねば、息子のジョンは生まれない。
 それを察知したジョンは若き日の自分の母を守るため、部下のカイル・リースを同じ一九八四年にタイムスリップさせる。サラを殺そうとする最強のロボットと、未来から来た兵士の戦い。
 いきなり変な男が現れて、あなたを守るために二〇二九年からやって来たなんて言われても、女子学生のサラはわけがわからない。が、現実にターミネーターに襲われると、いっしょに逃げ回るしかなく、やがてサラとカイルの間に恋が芽生える。
 この無敵のターミネーターシュワルツェネッガーなのだ。あの体格、あの顔つき、まさに人間離れしたロボットそのもの。カイルの反撃で体の一部が損傷し、機械むき出しで追ってくる殺人機は、『ウエストワールド』のユル・ブリンナーを思わせる。
 未来のタイムマシンはどういうわけか、肉体しか転送できず、ターミネーターもカイルも全裸で一九八四年の路上に現れる。『ターミネーター』はヒットし、シリーズ化され、次々と続編が作られた。未来から長身美女の女ロボットや女兵士が現代に送られてくる場面も、やはり初回を踏襲して全裸である。一瞬だが。

 

ターミネーター/The Terminator
1984 アメリカ/公開1985
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガーマイケル・ビーンリンダ・ハミルトン、ポール・ウィンフィールド、ランス・ヘンリクセン