映画批評

第241回 イエスタデイ

第241回 イエスタデイ

令和元年十一月(2019)
大阪 千日前 TOHOシネマズなんば別館

 

 ビートルズが好きだと、何倍も楽しめる。思えばジョン・レノンは四十歳で亡くなっているのだ。
 イギリスの小さな港町に住むジャックは売れないミュージシャンだった。自作の曲を路上で歌ったり、小さな酒場に出演したり。そんな彼をマネージャーとして支えるのが幼馴染で教師をしているエリー。
 念願のフェスティバルに出場するも、ジャックのテントには客はまばら。あまりに惨めなので、エリーに宣言する。これ以上続けてもしょうがない。音楽は諦める。
 自転車で帰宅の途中、世界が一瞬停電になる。
 バスと衝突、大怪我をして入院。なんとか快復して、友人たちとささやかな退院祝い。エリーがギターをプレゼントしてくれ、所望されて何気なく歌ったのがビートルズの『イエスタデイ』
 みんなが驚く。そんな素敵な曲、いつ作ったの。
 えっ。入院前となにもかもまったく変わらないのに、ただひとつ、そこはビートルズが存在しない世界だった。だれもビートルズの曲を知らないのだ。
 ジャックはいっしょに暮らす両親に『レット・イット・ビー』を聴かせるが反応は今ひとつぱっとしない。
 が、ビートルズの曲を記憶から順番に掘り起こし、自分の曲として歌い、やがて大物マネージャーの目にとまり、彼の歌は世界中で大ヒットする。
 スターになったジャックのところへ、ある日、おもちゃの黄色い潜水艦を持った人物が訪ねて来る。
 ビートルズは存在しないが、七十八歳の「あの人」は存命だった。

 

エスタデイ/Yesterday
2019 イギリス/公開2019
監督:ダニー・ボイル
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン、ジェームズ・コーデン