シネコラム

第228回 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

第228回 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式

平成十九年六月(2007)
池袋 サンシャイン劇場

 平成十九年、日本の経済は破綻し、国家そのものが破産寸前。これを打破する解決策は政府首脳にも打ち出せなかった。
 そんなとき、新型洗濯機を開発中の電機メーカーで、ドラム内の洗濯物が消滅するという現象が。洗濯機の回転数が空間に歪みを生じさせ、洗濯物を過去へ送り込んだと判明。このあたり、マイケル・クライトンの『タイムライン』で物質転送機のテストがタイムマシンを作ってしまうのとちょっと似ている。
 洗濯機を開発した女性技術者は大蔵官僚と東大時代の恋人だった。そこで政府が極秘にタイムマシンを実用化させ、平成二年のバブル全盛時代へ使者を送り込む計画を立てる。現代の経済破綻は平成三年のバブル崩壊にあり、バブル崩壊の発端となる規制法案を阻止すれば、急激なバブル崩壊にはならず、経済破綻も免れるというわけだが。
 政府は電気メーカーの女性技術者を過去に送るも、消息を絶ち、それを救出するために今度は彼女の娘を送るのだ。まさに『タイムライン』
 平成二年。けばけばしい東京で盛り上がるバブルの終末。だれもかれもが浮かれて札びらをばらまいている。このお祭り騒ぎが永遠に続くと思い込んで。
 娘がそこで出会うのが、若き日の大蔵官僚、これがとんでもない女たらし。そして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のごとく、時間SFギャグが展開。
 この映画が作られたのが平成十九年、バブル崩壊が平成二年、わずか十七年の間に日本はこんなにも変わってしまったという悲喜劇。
 果たしてバブルは崩壊せず、日本経済は破綻を免れられるのか。女性技術者が薬師丸ひろ子、娘が広末涼子、経済官僚が阿部寛阿部寛はシリアスよりもコメディが私は大いに好きである。

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
2007
監督:馬場康夫
出演:阿部寛広末涼子薬師丸ひろ子吹石一恵伊藤裕子劇団ひとり小木茂光森口博子伊武雅刀

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