第223回 ジュラシックパーク
平成五年七月(1993)
日比谷 日比谷映画
コンピュータグラフィックスの進歩はすごい。初めて『ジュラシックパーク』を観たときはほんとに驚いた。様々な種類の恐竜たちが動き回っているのだ。ハリーハウゼンのときのコマ撮りでもなく、ゴジラのような着ぐるみでもなく。
マイケル・クライトンの原作小説は、映画化を前提に書いているのだろう。まさに特撮映画向きの題材である。
南海の孤島に億万長者が遊園地を作る。これがただの遊園地ではなく、クローン技術で甦らせた太古の本物の恐竜を放し飼いにしたサファリパークなのだ。恐竜はジュラ紀の化石の中の蚊から摘出した血液のDNAで再生する。
億万長者は公開を目前にして、安全性をチェックさせるために、科学者を呼んで試験的にコースを回らせる。これに億万長者の孫が二人加わる。
たまたま嵐が来たのと、職員の中に不心得者がいたのとで、制御装置が機能しなくなり、科学者と子供が恐竜たちの真っ直中に置き去りにされるのだ。さて、いかにこの危機から脱するか。
映画とはまさに見世物であり、観客も映画館の大画面で恐竜たちを見物する。
そして、この『ジュラシックパーク』はマイケル・クライトンがかつて監督した『ウエストワールド』の焼き直しであることがわかる。
科学技術を駆使して夢のような遊園地が作られる設定は同じ。開拓時代の西部劇の世界がジュラ紀の恐竜時代に。コンピュータの故障で制御できなくなって客を撃ち殺すガンマンロボットが恐竜に置き換えられただけなのだ。
『ウエストワールド』の続編『未来世界』はまったくヒットしなかったが、『ジュラシックパーク』は次々に新作が作られた。残念ながら、最初のが一番面白い。
ジュラシックパーク/Jurassic Park
1993 アメリカ/公開1993
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:サム・ニール、ローラ・ダーン、リチャード・アッテンボロー、ジェフ・ゴールドブラム、アリアナ・リチャーズ、ジョゼフ・マゼロ