シネコラム

第173回 ブラック・クランズマン

第173回 ブラック・クランズマン

令和元年七月(2019)
高田馬場 早稲田松竹

 黒人を差別し、迫害し、ときには見せしめとしてリンチで惨殺する。白人至上主義者の団体KKK。
 ブラックパワーが叫ばれ始めた一九七〇年代初頭、アフロヘアーの黒人青年が警察官となり、あるきっかけでKKKへの潜入捜査を実行する。黒人と見たら迫害するKKKに黒人でありながら、いったいどうやって潜り込むのか。
 ロン・ストールワースが警官になったとき、コロラド州のその町には他に黒人警官はひとりもいなかった。最初、資料室で腐っていたが、抜擢されブラックパンサーの政治集会に潜入する。これがうまくいき、専任の潜入捜査官に。
 ある日、新聞広告に地元のKKKが団員募集している記事を見つけ、黒人嫌いの差別主義者を装って電話で応募すると、相手方に受け入れられる。が、黒人の自分が行くわけにいかず、同僚のユダヤ系捜査官フリップがストールワースになりすまして、KKKと接触。以後、ストールワースが電話、フリップが現地、二人三脚でKKKの実態を調べ、犯罪を未然に防ぐ努力をする。
 黒人でありながら、KKKの会員証を持つロン・ストールワースの自伝の映画化。いつ正体がばれるかと、はらはらどきどきの連続だが、実話なのだ。
 白人至上主義のKKKを美化した『国民の創世』が公開されるや、映画に興奮した白人たちによる黒人へのリンチ殺人が衆人環視のもと多数行われたとのこと。
 この映画の中でも、フリップの潜入先の集会で映写される『国民の創世』で、悪い黒人が正義のKKKに成敗されるシーンに団員たちが歓声をあげる。
 名作といわれ、日本でもファンの多い『風と共に去りぬ』もまた、アメリカの黒人から見ると不快な差別映画であるという。

 

ブラック・クランズマン/BlacKkKlansman
2018 アメリカ/公開2019
監督:スパイク・リー
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバートファー・グレイス、ローラ・ハリアー、ライアン・エッゴールド、ヤスペル・ペーコネン、アレック・ボールドウィンハリー・ベラフォンテ

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