シネコラム

第134回 タイムコップ

第134回 タイムコップ

平成七年一月(1995)
池袋 文芸坐

 

 はるか未来にはタイムマシンが実用化されていて、これを悪用した歴史の改変が行われる。その時間犯罪を阻止するため、各時代に時間監視員が設置されているというのが私の愛読するポール・アンダーソンの『タイムパトロール』である。
『タイムパトロール』ほど壮大ではないが、SFアクションの『タイムコップ』はなかなか面白く作られている。
 最初の場面で南北戦争の兵士たちが荷車を運んでおり、その前に立ちはだかるガンマン。兵士たちに積荷の金を寄越せと言う。兵士たちは笑う。ひとりで無謀な男だと。するとガンマンは高性能の機関銃であっというまに相手を皆殺しにしてしまう。これが時間犯罪なのだ。
 ひとりの警官に新しい指令が発せられる。新設の時間警察のメンバーに推薦されたのだ。が、その夜、何者かに自宅を襲われ、妻を殺され、家を焼かれるが、本人は重症を負いながらも命は助かる。
 十年後、彼は時間警察官として活躍している。大統領補佐官が別にタイムマシンを所有していて、それで過去の金を横領し、大統領になるつもりらしい。タイムコップ内部にも手下が潜入しており、補佐官は自分の悪事に気づいた時間警察官を抹殺しようと、十年前に戻ったのだ。
 衣裳やセットに金のかかる歴史時代を出さずに、はらはらさせるアクションが中心になっている。なにしろ主演がジャン=クロード・ヴァンダムだから。
 悪徳政治家がもっと賢ければ、こそこそ過去の金など集めずとも、歴史そのものを自分に都合よく改変し、まんまと大統領になる道を作ってしまっただろうに。
 とはいえ、こういうB級アクション映画、私はけっこう好きなのだ。

 

タイムコップ/Timecop
1994 アメリカ/公開1994
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:ジェンクロード・ヴァンダム、ミア・サーラ、ロン・シルバー

 

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