シネコラム

第115回 ゾンビーノ

第115回 ゾンビーノ

平成二十四年六月(2012)
新橋 新橋文化

 

 ゾンビ映画も数々あるが、ゾンビの実用化を考えたのがこの映画。
 時代背景は男女の服装、髪型、走る自動車、家庭内の電化製品などから、一九五〇年代頃のアメリ中流家庭を思わせる。
 宇宙からの放射線により死体が甦って人を襲い、人肉をむさぼる。ゾンビに殺された者もまたゾンビとなる。ゾンビを殺すには脳を破壊するしかなく、頭を撃つか、首を切り離すか。
 宇宙の放射線は影響し続けているので、人はだれでも死ねばゾンビとなる。死者は頭を切り離して埋葬するしかない。
 ある科学者がゾンビを無害化する首輪を発明。これが量産されて、首輪をつけておとなしくなったゾンビたちが労働力となる。ゾンビには生前の記憶がなく、言葉も話せないが、人の言うことはわかり、命令に従う。ただし、首輪が故障すると、いきなり凶暴になり人を食い殺し、犠牲者もまたゾンビとなるので、これを警官や自警団が頭を狙って撃ち殺す。
 大企業が首輪の開発とゾンビの管理を行い、各家庭に必需品として召し使い用ゾンビを売り込んでいる。町は高いフェンスで囲われて安全だが、外界には野生の危険なゾンビがうようよしている。
 主人公の少年の家でも首輪をつけたゾンビを購入。少年はゾンビにファイドと名づける。友達もなく学校でいじめられている少年とファイドの間に友情が芽生え……。
 ゾンビと一般人との差は、紙一重。家族や友人といえども、死ねばたちまちゾンビに。
 少年の美人のお母さんがキャリー=アン・モス、やさしいお父さんがディラン・ベイカー、まさに「パパはなんでも知っている」の世界。この家庭にやって来るゾンビがビリー・コノリー
 ファイドというのは犬によくつけられる名前だそうで、日本のポチのようなものか。


ゾンビーノ/Fido
2007 カナダ/公開2007
監督:アンドリュー・カリー
出演:キャリー=アン・モスビリー・コノリー、ディラン・ベイカ