第60回 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
平成二十九年三月(2017)
京橋 テアトル試写室
一九七〇年代の日本のTVアニメが当時イタリアでも放送されて、向こうの子供たちにも人気があったそうだ。日本アニメファンだったガブリエーレ・マイネッティ監督が、永井豪原作『鋼鉄ジーグ』から着想を得て作ったのが『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』である。
現代のローマ。コソ泥の小悪党エンツォ。警察に追い詰められて川に飛び込んだら、そこは放射性廃棄物のたまり場で、汚泥にまみれて、ようやく這い出るが、その日から体調を崩す。
世話になっている故買屋に頼まれて麻薬取引現場に同行すると、いきなり銃撃戦になり、銃弾を受けて逃げ帰る。ところがまったく無傷で、それどころか、恐ろしい怪力を発揮。廃棄物の影響で鋼鉄の肉体とスーパーパワーが身についたのだ。
根が小悪党なのでさっそく銀行のATMを引きちぎり、現金を奪う。
銃撃で死んだ故買屋にアレッシアという引きこもりの娘がいて、日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』を毎日繰り返し見続けている。
親分のジンガロは取引が失敗したので、故買屋の家に押しかけ、アレッシオをいためつける。それをエンツォが助けたので、彼女は彼を鋼鉄ジーグだと思い込む。
チンピラのエンツォと精神障害のあるアレッシオの間に恋が芽生え、彼女は彼に正義のヒーローになってほしくて、毛糸で鋼鉄ジーグのマスクを編む。
一方、上部組織と敵対したジンガロは追い詰められ、手下を殺され、体を火で焼かれて川に飛び込む。
アレッシオの懇願で、正義のために力を発揮しようと決意したエンツォの前に、焼けただれた体の不死身の怪人が立ちふさがる。
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ/Lo chiamavano Jeeg Robot
2015 イタリア/公開2017
監督:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、イレニア・パストレッリ、ルカ・マリネッリ、ステファノ・アンブロジ