シネコラム

第57回 ウォッチメン

第57回 ウォッチメン

平成二十一年三月(2009)
新宿歌舞伎町 ミラノ座

 

 スーパーヒーローの集結といえば、マーヴェルの『アヴェンジャーズ』やDCコミックの『ジャスティスリーグ』が思い浮かぶが、現実のアメリカ現代史にヒーローたちがそろって関与したらどうなるか、そんな遊び心いっぱいなのが『ウォッチメン』である。
 一九八〇年代、スーパーヒーローの活躍でベトナム戦争に勝利したアメリカは、ニクソンが大統領として君臨し続け、独裁政権を樹立。政府は用済みとなったヒーローたちの力を制限する法を施行する。
 引退したコメディアンと呼ばれるスーパーヒーローが何者かに殺され、葬儀に集まるかつてのヒーロー仲間たち。
 ハードボイルドの探偵のような顔のないロールシャッハ
 富豪の息子で地下に秘密基地を持つナイトオウル。
 研究所の事故で超人と化したドクター・マンハッタン。
 ヒーローの仮面を脱ぎ捨てて実業家として成功しているオジマンディアス。
 紅一点のセクシー美女シルクスペクター。
 ヒーローたちが命を狙われているらしい。ロールシャッハがヒーロー狩りの謎に挑み、巨大な組織の陰謀に迫る。
 それぞれの能力に差のあるヒーローたちの友情、憎しみ、嫉妬、恋愛、野心。それらが複雑に交差し、アメリカの現代史を歪めていく。
 米ソの冷戦が続き、核戦争の脅威が世界を覆っている架空の一九八〇年代、ヒーローたちは世界を救えるのか。

ウォッチメンWatchmen
2008 アメリカ/公開2009
監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリーパトリック・ウィルソンビリー・クラダップマリン・アッカーマンマシュー・グード